自民分裂、福岡県議選に余波 「造反」現職と「刺客」新人激突 福岡知事選対応隠しも

西日本新聞

「公認」の部分を隠して使用された福岡県議選の候補者ののぼり=29日午前11時ごろ、福岡市 拡大

「公認」の部分を隠して使用された福岡県議選の候補者ののぼり=29日午前11時ごろ、福岡市

 統一地方選の道府県議選と政令市議選が29日告示された。福岡県では知事選の自民分裂が県議選にも波及し、複数の選挙区で保守系候補同士が激突。知事選の自民推薦方針に「造反」したため公認を取り消された現職候補と、「刺客」として自民公認を得た新人候補がぶつかり合う選挙区も。候補らも困惑を抱えながらの選挙戦がスタートした。

 定数3に、5人が立候補した福岡市中央区。2月に自民党県議団を飛び出したばかりの無所属現職は、満開の桜を背にこう訴えた。「しっかりと知事の3期目を支えていきたい」

 直前まで自民公認候補に名を連ねていた。だが、知事選で自民が新人武内和久氏(47)を推薦したのに反発し、現職小川洋氏(69)の支援を公言したことで、公認を取り消された。

 出陣式会場で揺れるのぼりは「自民党公認」の「公認」部分に白いテープ。一部の企業・団体の支援も失った。だが「名誉の非公認」と強気だ。出陣式には小川氏の妻も参加。知事選とセットで支持を呼びかけることで、トップ当選の前回を上回る得票を狙う。

 一方、現職の「造反」劇で公認を得た自民新人。事務所には、安倍晋三総裁からの為書きを掲げる。「自民党公認をいただいた。福岡のために働かせてください」。唯一の党公認候補という立場を前面に押し出し、支持を呼びかける。

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 福津市選挙区(定数1)では、自民現職に対抗し、党市支部が無所属新人に推薦を出した。

 自民現職は、知事選では武内氏を推す県議団と足並みをそろえるが、支援者の中には小川氏を推す声もある。出陣式でこの候補は、知事選については一切触れなかった。「争点にされると困る」。陣営は知事選の対応については最後までだんまりを決め込む戦略だ。

 一方の無所属新人は対照的な選挙戦を展開。「小川知事とコラボしながら戦っていく」と知事選との連動を打ち出し、31日には合同演説会も予定する。

 公認を巡っては、党地域支部と党県連の対応がねじれた。支部幹部は「知事選と同じで、上(県連)が権力を振り回している」。知事選での党分裂が、地方組織の対立に拍車を掛ける。

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 「小川知事とも連携して選挙を戦っていく」。北九州市小倉北区(定数3)では、国民民主現職が小川氏との共闘をアピールする。

 最大の支援組織の連合福岡は小川氏を推薦。小川氏支持を明確にすることで、県議選を有利に戦えるとみる。統一選で地方の足場を固め、夏の参院選につなげたい狙いだ。ただ、選対幹部は「自公政権に不満を持つ国民の受け皿を作れておらず、追い風は1ミリも吹いていない。政党ではなく、小川氏との連携を前面に出すしかない」と漏らした。

 福岡市城南区(定数2)に挑む共産新人は、自民分裂が激しさを増す知事選について「派閥争いみたいなもの。大きな政策の違いはない」と批判。知事選の推薦候補で新人の篠田清氏(70)と二人三脚で、革新票の掘り起こしを狙う。

=2019/03/30付 西日本新聞朝刊=