女性の政治参加道半ば 九州県議、過去最多44人立候補 子育て、偏見…なお高い壁

西日本新聞

夕暮れ時、通行人に握手して支持を訴える福岡市議選の女性候補者=29日午後6時半ごろ、福岡市 拡大

夕暮れ時、通行人に握手して支持を訴える福岡市議選の女性候補者=29日午後6時半ごろ、福岡市

 29日に告示された九州7県の県議選の女性立候補者は計44人で過去最多を更新したが、全候補の中で女性は1割にとどまった。前回から倍増の19人が出馬した福岡市議選でも約2割となった。昨年施行された「政治分野の男女共同参画推進法」が機運を盛り上げたとはいえ、女性の政治参加はまだ道半ば。子育てとの両立、周囲の理解不足、偏見など壁が立ちはだかる。

 「働く母親の立場で女性の声を届けたい」。福岡県議選に立候補した立憲民主新人(39)は出発式で訴えた。3人の子どもを育てながら出馬を準備。応援に駆けつけたのも子育てを通じて知りあった友人たちだ。

 子の看病による欠勤を理由に、職場で人事評価を下げられるなど働く女性の苦悩を経験した。出馬を決意した時、周囲から聞こえてきたのは「子育てに集中したほうがいい」との声だった。知人議員には「(子育て中は)飲み会に行けないから議員活動は無理だろう」と笑われた。それでも夫が保育園の送迎を手伝うなど家族の協力で立候補にこぎ着けた。選挙戦では「多様性や選択肢のある社会づくり」を掲げるつもりだ。

 福岡市議選に立候補した立民新人(49)は夫が単身赴任中で家事と子育てを1人でこなす“ワンオペ育児”をしながらの挑戦。選挙活動にフルに時間を使えない。「でもそれが現実。暮らしに余裕がある人だけが集まる議会では市民の苦労に気付けない」と訴える。

 思いも寄らない“被害”を受けた候補もいる。同市議選に立候補したある新人女性は告示前、夜の駅立ちで男に付きまとわれた。「こんな目に遭うなんて…。若い女性も普通に選挙に出られる社会にしなければ」

 今回の県議選では佐賀、長崎、熊本など5県で女性の立候補が前回を上回り、計44人に達した。一方、前回の九州7県の当選者数は計25人。今回の選挙で各議会での女性の割合がどの程度伸びるか注目が集まる。

 前回より3人多い4人が立候補した佐賀県議選(定数38)。小城市選挙区で初の女性候補となった無所属新人(66)は「政治は男性中心でよしとする人々の意識に押され女性が声を上げづらいのでは。私が呼び水になりたい」と意気込む。

 大阪大大学院の牟田和恵教授(ジェンダー論)によると、推進法は政党に男女の候補者数を均等にするよう求めているが、地方では自民党以外の党の組織が弱く女性候補を擁立する動きが鈍いという。「政党に限らず町づくり団体などが女性を議会に押し上げる取り組みも必要だ」と強調する。

=2019/03/30付 西日本新聞朝刊=