福岡空港 活性化の針路は 地場出資4月1日完全民営化 「先行例」関空では混雑解消 買い物誘導 近隣2空港役割分担

西日本新聞

 福岡空港が4月1日、完全民営化する。九州の空の玄関口として存在感を増す一方、外国人観光客への対応や災害時の対応強化、北九州空港との連携や欧米への長距離路線誘致など、課題は山積。地場企業などでつくる運営会社、福岡国際空港(FIAC)は、早速その手腕を問われることになる。

 平日の昼間も多くの外国人観光客でにぎわう関西空港。一足早く2016年に民営化した。運営する関西エアポートの担当者は「以前はチェックインや保安検査で、長い時は1時間以上の待ち時間が出ていた」と振り返るが、今は目立った行列はない。

 同社はフランスの空港運営会社バンシ・エアポートやオリックスなどで組織。関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港を一体運営する。

 世界各地に展開するバンシの経験や情報力を生かし、3~4人が同時に保安検査を受けられるスマートレーンを国内で初導入し待ち時間を3割削減。空いている出発口を案内する電子掲示場や、自動チェックイン機など最先端の機器を次々と取り入れた。

 混雑緩和された分、乗客は施設内を楽しむ時間が増えた。商業フロアを改装し、店舗を貫く形で通路を設けるウオークスルー型免税店も導入し、売り上げも伸びている。

 民営化から3年。担当者は「最大の効果は、投資の決断の早さ」と話す。

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 FIACも今後30年の運営計画に国際線ターミナルビルの混雑緩和や商業施設の充実などを掲げる。特に混雑緩和は「いち早く取りかかりたい」(永竿哲哉社長)として、カウンターの配置換えや最新機器の導入による手続きの迅速化を目指す。国内線と国際線ターミナル間のアクセス向上のため専用道路を建設、所要時間を現在の15分から5分に短縮したい考えだ。

 災害時対応も強化する。非常時にはさまざまな媒体で情報発信することを福岡市と確認した。昨年9月の台風で甚大な被害を受けた関西では「非常時の情報発信は、空港だけでは限界がある」として、地元自治体との連携を見直した上で新たな事業継続計画(BCP)を策定中だ。

 24時間発着可能な北九州空港との連携も急務。関西エアは運営する3空港を、国際線を中心に24時間発着可能な関西▽国内線の基幹としての伊丹▽神戸市とその周辺の国内便需要に対応する神戸-と役割分担した上で、路線誘致を図る。

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 関西空港では4月からロンドン(週4便)や米シアトル(週7便)線の新規就航や、北欧のヘルシンキ線の増便など欧米路線の拡大が進む。目標に掲げる「長距離路線の拡充」で一歩前進した形だが、関西エアは「民営化の効果というより、(京都や大阪など)地域の知名度向上の結果だ」と冷静。目的地としての魅力が薄ければ、発着料の割引だけでは新規路線の就航は難しいと分析する。

 福岡空港同様、利用者増や災害時対応の強化などの課題を抱える関西空港。解決に向けた取り組みでは、地元自治体、財界との連携の必要性が浮かび上がる。

 30年後に「14カ国・地域に51路線就航」を目指す福岡空港。5月には米大手デルタ航空がホノルル便から撤退し、欧米便はグアムと夏季のヘルシンキのみになる。地域と空港が一体となり魅力を向上できるか。福岡、九州の力量が試される30年となる。

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 福岡空港の運営を担う特別目的会社、福岡国際空港(FIAC)。出資する西日本鉄道の倉富純男社長と九州電力の豊馬誠取締役常務執行役員に展望や意気込みを聞いた。

■西日本鉄道社長 倉富純男氏 九州各地へ高速バス拡充

 われわれ地場企業が地域の空港を自分たちのものとして運営に携わるのには意義がある。それぞれの専門分野を生かし、空港機能や魅力を上げていきたい。

 西鉄が得意なのは交通網。まず福岡空港と九州各地をつなぐ高速バス路線を拡充する。国際線ターミナルビルから直接、熊本県の阿蘇・内牧温泉につながる路線ができたことは、復興や観光の意味でも意義深い。福岡-延岡、下関線も同ターミナルビルに新たに乗り入れた。増加する外国人観光客を九州各地へ運ぶことで、ビルの混雑解消や九州の魅力発信につなげる。

 福岡市では、2022年末に中央区の大名小跡地に高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」などが入居する高層ビルが建ち、24年春には天神の福ビル街区が大型複合ビルへ建て替わる。福岡市が進める街の活性化プロジェクト「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」を機に都市機能が向上し、交流人口が増える。空港と街は相互補完する存在だ。共に成長する30年でありたい。

■九州電力取締役常務執行役員 豊馬誠氏 地域の魅力上げ路線誘致

 計画通りの路線誘致を実現し、福岡空港の活性化を図りたい。そのためには経済界や自治体との連携も必須だろう。九州には九州ニュービジネス協議会など、起業家育成やベンチャー企業育成の土壌がある。東京から福岡に本社機能を移転する企業が増えれば、国内外の都市とのビジネス需要も拡大する。経済界と自治体が連携して、地域の魅力を底上げする必要がある。

 過密化対策として、24時間空港の北九州空港との連携も進める必要もある。福岡で金曜夜に飲み会に参加してから飛行機に乗り、遠隔地で土曜朝からのゴルフに参加するなど、深夜早朝便を飛ばせる利点は福岡にはない魅力。もっと活用すべきだ。

 九州電力は長年、まちづくり企業として地域と歩んできた。空港運営でも、情報通信や警備といったグループ力を活用して提案できることもある。民営化を機に新たな競争が生まれることで、地場企業の商品やサービス力も上がっていく。もちろんFIACへの人材支援も惜しまない。

=2019/03/31付 西日本新聞朝刊=

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