共生へ鍵は「寛容さ」 「やさしい日本語」シンポ詳報

西日本新聞

シンポジウムには「やさしい日本語」に関心を持つ人が大勢参加した=3月11日、都内 拡大

シンポジウムには「やさしい日本語」に関心を持つ人が大勢参加した=3月11日、都内

 外国人労働者の受け入れを大幅に拡大する改正入管難民法が1日施行された。施行を前にした3月、外国人にも理解しやすい「やさしい日本語」について考えるシンポジウムが都内であった。明治大教授の山脇啓造氏▽「YSCグローバル・スクール」責任者の田中宝紀(いき)氏▽「やさしい日本語ツーリズム研究会」事務局長の吉開章氏▽西日本新聞社編集局デジタル編集チームの坂本信博デスク-が各自の取り組みを紹介。言葉を通した共生社会のあり方について意見を交わした。

 外国にルーツがある子どもや若者の学習・就労支援をする田中氏は「全国の公立学校には日本語が分からずに在籍している子どもが2016年時点で約4万4千人いる」と指摘。その数は増えているという。

 子どもたちはさまざまな言語を母語に持つため、支援活動は、やさしい日本語でのやりとりが中心。田中氏は「多様な人が暮らす中で通訳や機械翻訳には限界がある。日本社会の共通語としてやさしい日本語に注目している」と語った。

 山脇氏は国の多文化共生に関する施策作りに2000年代中頃から関わっている。「当時は『多様な言語による情報提供』という記述だったが、17年にできた多文化共生の事例集では『多言語・やさしい日本語による情報提供』という表現に変わった」と述べ、裾野の広がりを紹介した。

 吉開氏は福岡県柳川市で外国人観光客向けのやさしい日本語によるもてなしを行政と企画するなど、全国で普及に取り組む。「日本人には、外国人の日本語に寛容ではない気質がある」と問題提起した。

 「やさしい日本語の『やさしい』は易しさと優しさだが、もう一つ重要なのは『寛容さ』。さまざまな日本語に寛容な態度を持つことが大事」と主張する一方、「やさしい日本語は万能ではなく、人権問題や医療に関わる分野では各国語の専門的な通訳が必要になる」とも述べた。

 本紙は16年から外国人との共生をテーマにキャンペーン報道「新 移民時代」を展開。その一環としてやさしい日本語で記事を発信する「やさしい西日本新聞」を昨年11月から本紙ウェブサイトで始めた。坂本デスクは「外国人に優しい社会は他者に寛容な社会につながる。共生社会を支える報道機関としての使命を果たしたい」と意義を語った。

   ◇    ◇   

 本紙のやさしい日本語ニュースは毎週金曜日発行の「ファンファン福岡」にも掲載。4月1日から九州北部のFMラジオ局「LOVE FM」でも放送が始まった。

=2019/04/02付 西日本新聞朝刊=