高齢者の「乱横断」事故相次ぐ 信号無視、横断歩道ない場所渡る…立件も

西日本新聞

高齢の歩行者とバイクとの衝突事故があった交差点周辺。「乱横断」が原因となり、歩行者側も重過失傷害容疑で書類送検された=北九州市小倉北区萩崎町 拡大

高齢の歩行者とバイクとの衝突事故があった交差点周辺。「乱横断」が原因となり、歩行者側も重過失傷害容疑で書類送検された=北九州市小倉北区萩崎町

 信号無視したり、横断歩道のない場所を渡ったりする「乱横断」による事故が後を絶たない。福岡県内で増加傾向にある歩行者の死亡事故の一因になっているほか、北九州市で起きたバイクと高齢歩行者の衝突事故では3月、歩行者側が重過失傷害容疑で立件されている。身体能力や認知能力が低下する高齢者の乱横断が問題視されており、県警や識者は警鐘を鳴らす。

 事故は昨年11月、北九州市小倉北区の交差点で起きた。小倉北署によると、70代の男性が赤信号を無視して横断歩道近くの道路を渡ったところ、青信号に従い走ってきたバイクと衝突。バイクの運転手は転倒し、頭部に約1カ月の重傷を負った。歩行者の男性も足の骨を折る大けがをした。

 署は歩行者側にも大きな過失があると判断。歩行者の男性を重過失傷害容疑で、バイクの運転手は自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で書類送検した。

 県警交通企画課によると、歩行者の信号無視が事故原因となり、過失の重い「第1当事者」になったケースは昨年、県内で12件あったが、重過失傷害容疑に問われるのは異例だという。

 同課のまとめでは、県内で昨年発生した交通事故の死者数は136人で、前年に比べ3人減少。このうち道路を横断中にはねられて死亡した歩行者は51人となり、前年より10人増えた。横断歩道の前後30メートル以内ではねられた人が8人(前年比5人増)に上り、横断歩道が近くにあるのに利用しない乱横断が増えていた。

 大阪大大学院の篠原一光教授(交通心理学)は高齢者にとっての危険性について「身体能力が衰えると、横断歩道まで行くのが面倒になり、楽なコースで渡りたくなりがち。視野が狭くなるなど認知機能も低下している場合は危険を確認できないまま横断してしまう」と指摘。ドライバーにとっても乱横断は予想外の動きで、気づくのが遅れやすいという。交通企画課の長田昌之統括管理官は「歩行者も刑事責任を問われる場合がある。身を守るため、乱横断は危ないという認識を持ってほしい」と呼び掛けている。

=2019/04/03付 西日本新聞朝刊=

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