県議選注目区ルポ(4)大村市区 保守票争奪、市長も参戦

西日本新聞

県内有数の激戦となった大村市区。支持者の拳にも力がこもる 拡大

県内有数の激戦となった大村市区。支持者の拳にも力がこもる

 新元号「令和」が発表された1日夜、大村市松原本町の八幡神社社務所。個人演説会を開いた自民現職、里脇清隆は声を張り上げた。

 「今の私は新人2人と3番目を争っている状況だ。この議席を譲るわけにはいかない」

 自民が定数と同じ現職の里脇、松本洋介に加えて新人の北村貴寿の3人を擁立し、無所属現職の小林克敏と保守票の激しい争奪戦を繰り広げる大村市区。これに非自民票の掘り起こしを狙う立民新人の牧山大和が絡み、選挙戦の行方は混沌(こんとん)としたまま中盤を迎えた。

 県議や大村市長を務めた父から受け継ぐ強固な後援会に支えられる松本も意識せざるを得ない。「自民公認、政治経験、若さの三つを兼ね備えているのは私だけ」。松本は個人演説会で他の候補との違いをそう強調する。

 昨年の県議補欠選挙で松本と戦った北村は「毎日街頭に立ってきた。この戦いに必ず勝って皆さんの手足となって働きたい」。演説会の入り口には「自民党」ののぼり。北村を支援する自民市議は強調した。「新人なのに党公認は異例。彼のまじめな活動が評価されたからだ」-。

 自民が3人を公認した背景には、大村市を地盤とし、小林と政治的な対立関係にある衆院議員、谷川弥一の意向があったとされる。谷川は県議選告示日に自民3陣営の事務所を回り、激励した。ただ、谷川後援会は「自民が3人もいるので今はまとまっては動けない」(幹部)。医師会など自民支持団体も分裂し、3陣営からは「演説会の参加を呼び掛けても思ったより集まらない」と焦りの声も漏れる。

 候補者5人がポスターなどに使用するイメージカラーは、強固な後援会組織を持つ松本、小林の赤色に対し、里脇、北村、牧山は青色。このため「青組の3番手争い」ともささやかれる選挙戦で、注目を集めているのが小林と市長園田裕史の“蜜月ぶり”だ。

 告示日、園田は商店街であった小林の出陣式に駆け付け「ぶっちぎりで1番を」と声を張った。「ここまで応援してくれる市長に恥をかかせるわけにはいかない」と小林。選挙期間中に予定する個人演説会の日程は園田のスケジュールに合わせた。

 園田は「他の候補から応援依頼はない」と言うが、市幹部は「市長が特定の候補に肩入れすると職員が仕事をしにくくなる」と戸惑う。

 「自民を敵に回すとは、いい度胸だ」と谷川。大村市では統一地方選後半で市議選、夏に参院選、10月には市長選を迎える。複雑に絡み合った構図がどのような余波を広げるのか見通せないまま、県内有数の激戦区は日増しに熱を帯びる。 =敬称略

=2019/04/03付 西日本新聞朝刊=

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