【街 みらい】特別支援学校、重い財政負担 教室不足、老朽化…北九州市、県に支援要望 専門家「解消へ連携必要」

西日本新聞 北九州版

小池特別支援学校の増築された校舎。廊下が斜めに接続されている 拡大

小池特別支援学校の増築された校舎。廊下が斜めに接続されている

 知的障害などで特別支援教育を受ける児童、生徒の増加を受け、北九州市では特別支援学校の過密化が課題になっている。教室不足や老朽化に対応するため、新築や改修の費用が大きな負担だ。特別支援学校の設置は学校教育法で都道府県に義務付けられているため、市は県も財政負担するよう要望しているが、実現していない。専門家は「市だけの問題ではない」と指摘し、県と政令市が連携を強める必要性を訴える。

 若松区の小池特別支援学校は1975年の建築以来、増築を重ねて児童、生徒の増加に対応してきた。現在も教室不足を補うため、運動場に3棟のプレハブ校舎が建つ。市教育委員会によると、同校には2018年度、小学部から高等部に130人が在籍。09年度比6割増で今後も増加を見込む。

 環境の悪化を防ぐため、市教委は17年度、校舎の整備事業に着手した。計画では、隣接する市有地を活用し、延べ床面積を現状の2倍に拡大。エレベーターを設置しトイレも増やす。19年度は実施設計と一部施設の解体を進め、完成は23年度。事業費39億円のうち国庫補助の7億円以外は市の負担で、県の補助はない。

   ◆    ◆   

 特別支援学校の在籍者は、全国的に増加傾向が続く。障害に対する社会の認識が広がったことが背景にあるとみられる。

 北九州市でも、18年度の在籍者は09年度比1・25倍の1215人だった。市教委は16年度、再編で門司総合、小倉総合の両特別支援学校を開校した。現在、市立の特別支援学校は8校あり、今後も一部で移転、新築を控える。

 特別支援学校の設置義務が、学校教育法で都道府県に課されたのは1979年。北九州市立の多くはそれ以前の設置だが、市は2014年度から学校教育法を踏まえ、県に対し施設整備や管理運営費の補助を要望し続ける。17年度からは、同じく市立校を持つ福岡、久留米、大牟田各市と4市合同で要望している。

 県は財政状況などを理由に、補助には消極的な姿勢をみせる。24~25年度に糸島、宗像、福岡市に県立3校を新設する計画もあり、「入学希望者の増加には、県も役割を果たしている。学校教育法では、市立に補助する決まりはない」と理解を求める。

   ◆    ◆   

 文部科学省のまとめ(17年度)では、県内の特別支援学校数は38校あり、内訳は県立20校に対し市立が18校。市町村立の数としては、全国で2番目に多い。市町村立では兵庫、神奈川両県の19校が最多。

 兵庫県は福岡と同様の対応。対照的なのは神奈川県で、移転新築や大規模増築への補助実績がある。横浜市が4月に開校させた特別支援学校は、工事費約22億円のうち約4千万円を県が負担した。神奈川県教委は「市の事業でも、県全体の課題解消につながっている」と、補助についての考え方を説明する。

 地方財政に詳しい久留米大経済学部の世利洋介教授は「特別支援教育を含む教育行政の権限が政令市にあることを踏まえれば、県と市の連携強化は欠かせない」と指摘。「特別支援学校の需要増は全国的な課題。国の財政措置強化も必要だ」と強調する。

=2019/04/04付 西日本新聞朝刊=

PR

最新記事

PR

注目のテーマ