県議選注目区ルポ(5)佐世保市・北松浦郡区 異口同音「情勢読めない」

西日本新聞

佐世保市で支持者に頭を下げる候補者。選挙情勢は不透明さを増している 拡大

佐世保市で支持者に頭を下げる候補者。選挙情勢は不透明さを増している

 連合長崎にとって、異例の選挙戦初日となった。佐世保市・北松浦郡区のポスター掲示板は約730カ所。そこへ組合員が候補者3人分のポスターをまとめて貼って回った。

 国民現職の山田朋子、無所属元職の宮島大典、社民新人の堤典子。3人は連合の推薦候補だが、ポスターは事務所ごとに貼るのが一般的。今回はなぜ-。

 「全員当選に向けて一体感を強めるため」。連合長崎佐世保地域協議会事務局長の鴨川博明はきっぱりと答えた。自身も佐世保市大塔地区へ出向き、金属製の留め具や両面テープで3人のポスターを固定した。

 かつてない支援は危機感の表れでもある。

 佐世保市・北松浦郡区の連合支援候補は前々回、前回と続けて現職が3議席を維持した。9議席を11人で争う今回は国民の久野哲、社民の吉村庄二が引退。それぞれ宮島、堤に後を託すが不安要素を抱える。

 元衆院議員の宮島は、知名度は高いが「政党が前面に出る衆院選と県議選は戦い方が全く違う」と陣営。堤は長崎市で長く活動していたため、佐世保市職労出身の吉村ほどの知名度がない。山田も「過去3回の選挙は私が唯一の女性候補だったが、今回は3人いる」と厳しい戦いを強調する。

 連合長崎は宮島に佐世保重工業(SSK)の基幹労連、堤に自治労や教組、山田に全駐労や日本郵政労組などを割り当てたが、鴨川は「前回までと違って票読みができない」とこぼす。

 連合長崎の悩みは、現職5人に新人1人を加え、勢力拡大をうかがう自民の党内争いも影響している。

 ベテランが多い自民現職は、地域や支援組織のすみ分けがある程度はできていた。田中愛国は佐世保市の南部、溝口芙美雄は相浦地区や漁協、吉村洋は旧北松浦郡。外間雅広は市中心部に拠点を置き、当選12回の宮内雪夫は福祉関連などに安定した基盤を持つ。

 そこへ参戦したのが元建設会社役員の山下博史。告示前の決起集会は建設、福祉の関係者ら約800人を集めた。出陣式で「頑張ろう」の音頭を取ったのは元青年会議所理事長。保守票を巡る攻防が火ぶたを切ったことを印象づけた。

 ある現職は党内の他陣営に配慮し、地元周辺だけで運動してきたが「こっちに来ている人がいる」と陣営関係者。「前回手伝ってくれた人がよそのスタッフになっていた」と眉をひそめる陣営もある。

 元自民の宮島は保守票が見込める。「自民から落選が出てもおかしくない」。危機意識は自民にもある。議長経験者は「(当選圏外の)2人に入らないようにする」と出陣式で発言し、支援者を引き締めた。

 各陣営が情勢の不確かさを異口同音に語る中、前回トップ当選した公明現職の宮本法広は組織票固めを進める。共産新人の安江綾子は候補者の中で最も若いこともアピールし、非自民票を取り込む。 =敬称略

 =おわり

=2019/04/04付 西日本新聞朝刊=

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