議員選ビラ解禁、政策届くか 人柄、実績、写真…陣営も一工夫 専門家「実現への道筋も示して」

西日本新聞

統一地方選で作成された候補者の選挙ビラ。訴えや候補の紹介、作り方はさまざまだ(写真の一部を加工しています) 拡大

統一地方選で作成された候補者の選挙ビラ。訴えや候補の紹介、作り方はさまざまだ(写真の一部を加工しています)

 立候補者の主張や政策を載せたビラの選挙中の配布が、今回の統一地方選の議員選で初めて導入された。上限付きで公費負担するもので、これまで首長選に限られていた。各陣営とも政策や候補者情報を伝える「新たな選挙道具」として工夫を凝らす。名前の連呼に陥りがちな地方選挙の風景は変わっていくのか。専門家からは「もっと政策実現に向けた道筋も示してほしい」との注文も出ている。

 選挙ビラは、全国の都道府県議会議長会や市議会議長会が近年の低投票率傾向を踏まえ、国会に要望した。公職選挙法改正に伴い、今年3月以降告示の町村を除く議員選で解禁された。A4サイズで選管の証紙が必要。県議選1万6千枚、政令市議選8千枚、地方市議選4千枚を配布できる。

 有権者にとっては、地域課題に対する候補者の考えを比較しやすくなる。九州電力玄海原発が立地する佐賀県議選唐津市・東松浦郡区。現職の1人は再稼働に同意しない決議に賛成したことをビラに記した。別の現職は原発への賛否については触れず、地域経済の発展などを重視した。

 横並びにならないよう違いを際立たせる動きもある。2017年の九州豪雨からの復興を巡って論戦が続く福岡県議選朝倉市・朝倉郡区。ある新人は「迅速な改良復旧」「農業団地(仮称)の整備」などの公約を掲げた。一方、別の新人は「朝倉の再生へ」などのメッセージと活動風景の写真を多用。担当者は「違いを出した。写真重視で名前と顔を知ってもらう」と語る。

 福岡市議選でも現職の1人は、今期4年間で実施した11回43項目の議会質問の内容を列記。質問時の動画が見られることも紹介している。一方、別の新人は「議員経験はないが、できることはたくさんある」とフレッシュさを強調している。

 選挙事務所や演説会場のほか新聞折り込みでも配布できる。陣営幹部は「演説だけでは記憶に残りにくく、ビラと一体で主張できる」と歓迎する。別の陣営はスタッフ約30人がかりで証紙を全1万6千枚に貼り、大半を今月2日に新聞折り込みで配った。

 早稲田大マニフェスト研究所(東京)による全国約1170人へのアンケートでは、ビラ解禁について「人柄や政策が分かるようになり望ましい」が半数を超えた。ビラに必要な項目は「実現したいと考える政策」「将来のビジョン」がそれぞれ約3割で上位だった。

 研究所は「作成の仕方によっては有権者の関心を政策に向かわせることができる。おおむね有効に活用しており、有権者も歓迎しているのではないか」と評価する一方で「地域の現状や具体的な解決手法を盛り込んでいるか。なお改善の余地がある」と指摘している。

=2019/04/04付 西日本新聞朝刊=