とつけもにゃー小屋にするばい 11月に北九州で平成中村座 中村勘九郎さん

西日本新聞

 江戸時代の芝居小屋の雰囲気を再現した「平成中村座」が今年11月、北九州市に登場します。舞台に立つのは、NHK大河ドラマ「いだてん」で主役の金栗四三を演じている中村勘九郎さんと、弟の七之助さんたち。“どぎゃん”か舞台になるのか、勘九郎さんに聞きました。

 -平成中村座とは?

 ★勘九郎 うちの父(中村勘三郎)が19歳の時に唐十郎さんのテント芝居を見て、「これこそ歌舞伎だ、こういうことを僕はやりたい」という夢を持ち続けて、それがかなって2000年にできた小屋です。仮設なのでいろんな所に行けるんです。浅草のほか、大阪、名古屋、ニューヨークにも小屋を建てて公演しました。今回、九州にこうやって来ることができることは、とてもうれしく思います。

 -以前、七之助さんから「九州で中村座をしたい」ということも聞いていましたが。

 ★勘九郎 弟も九州は大好きなので、とても楽しみにしています。九州のお客さまは反応がいいので楽しいですね。面白いものをやれば入るし、盛り上がってくれる。(2002年に)博多座で「四谷怪談」をやった時、一番前のお客さまが、父が演じるお岩が毒薬を飲もうとすると、「飲まんとよ」って大きな声で。父はうれしくなって「あー飲みたくないな」と。でも飲まなかったら話は続かないし。そんなことを聞いています。

 -平成中村座の特徴は?

 ★勘九郎 靴を脱ぐ。これは家にいる感覚というか、すごく落ち着くらしいです。それでより芝居にのめり込める。江戸時代の錦絵を参考に、桜席といいまして舞台の上にも席があります。ここは幕が閉じた後に役者がどう動いているかを見ることもできます。特徴的なのはお大尽席ですね。4人かな。高いんですけど、すぐ売り切れちゃうんですよ。寒い時期に“お大尽”の方がカイロを持ってきて、“下々”にぱーっと投げる。そうしたしゃれたことをする人もいて、なかなか面白いです。

 演じている方からすれば、客席と舞台との距離が近いんで楽しい。お客さまとのキャッチボールがすごくしやすい小屋なんで。歌舞伎はこの空間のサイズ感で脚本が作られているので、大劇場でやっている時との違いというか、なるほどと思うことがたびたびあります。父はもともとある古典をかけた時にそのサイズ感やお客さまの反応とかを見て「これは何でもできる小屋だ」と喜んでいましたね。

 -北九州での演目は?

 ★勘九郎 全部は決まっていませんが、(小倉藩のお家騒動を題材にした)「小笠原騒動」をやろうかと思っています。それはもうばっちりじゃないですか。小倉城があって、それで初日と中日と楽日には花火を上げる。

 -大河ドラマに映画と映像作品でも大活躍ですが、裸を見せるシーンが頭に残るのですが…。

 ★勘九郎 いや、だからそうなんですよ。脚本に書いてあると、これは脱がなきゃいけないのかな、と思うじゃないですか。そうするとトレーニングしますよね。

 -歌舞伎で鍛えているから大丈夫では?

 ★勘九郎 体幹とかはそうかもしれないですね。でも、見せる筋肉を付けないといけないので、トレーニングし直しました。

 -殺陣は分かるんですが、金栗さんのマラソンは歌舞伎とは違うのでは?

 ★勘九郎 歌舞伎の踊りはどっちかというと無酸素運動。呼吸しているとおなかに力が入りません。形を決める時は息を止めます。長距離走とは全然違います。

 大河ドラマで1年間一つの役をやるのは、役者人生ではなかなか体験できないこと。やっぱり知らず知らずのうちに金栗さんが頭というか心に入ってきちゃうんですね。箱根駅伝を見ながら「あ、これは僕が作った大会だ、いや違う違う」って(笑)。

 -九州と深い縁ができる1年ですが、金栗さん風に意気込みを。

 ★勘九郎 そぎゃんですね。うーん、いやもう今回の金栗四三はとつけもにゃー男なので、とつけもにゃー平成中村座にするばい。

 ▼なかむら・かんくろう 1981年10月31日生まれ。父は十八代中村勘三郎。87年1月の歌舞伎座「門出二人桃太郎」の兄の桃太郎で初舞台。2012年、六代目勘九郎を襲名。ドラマは放送中の「いだてん」のほか「赤めだか」など。映画は「真田十勇士」「銀魂」などに出演。「平成中村座」は11月1日から26日まで、北九州市小倉北区の小倉城勝山公園で開催。

=2019/04/06付 西日本新聞朝刊=