樹成りで完熟の味 福岡・能古島の甘夏

西日本新聞

 博多湾に浮かぶ能古島(福岡市西区)の高台に、甘夏の季節がやってきた。

 久保田喜一さん(67)、勝揮(よしき)さん(37)親子が営む久保田農園。ブラッドオレンジ、文旦、日向夏など、約25種類のかんきつを栽培している。

 海を見下ろす果樹園には鮮やかなオレンジ色をした甘夏のまん丸い実が枝もたわわに=写真。一つ口に入れると、爽やかで、程よい甘みが広がる。まるで「お日さま」を食べているような気分になった。

 おいしさの秘密を尋ねると、「“樹成(きな)り”だから」と喜一さん。一般的に甘夏は収穫後、倉庫などでしばらく囲っておき、酸味が程よく切れる頃に出荷するのだが、久保田農園では味が濃くなるよう、ギリギリまで木にならせておくという。

 当然、このやり方にはリスクが伴う。風が吹くと、実が枝にぶつかるなどして傷ついたり、落下したりする心配があるのだ。

 特に、この3ヘクタールの果樹園は、四方が海に囲まれているから、強い風も吹く。それでも樹成りにこだわる理由は一つ。「おいしいものを作りたいから」

 土にも気を配る。通気性や排水性を良くして、微生物が活躍できる土をつくるため、米農家から譲り受けた大量のもみ殻を島に運び入れ、地面を覆うようにまく。100%有機肥料で化学肥料を使わない分、手間暇を掛ける。

 今年の出荷が始まった。ぜひ島に渡って、お日さまのような完熟の味を。

 ▼久保田農園の甘夏 能古島渡船場に隣接した「のこの市」、島内の「のこのしまアイランドパーク」「JA福岡市能古支店」で販売(1キロ250円~)。島へは姪浜渡船場(福岡市西区)からフェリーで約10分。農園のホームページからお取り寄せもできる。

=2019/04/06付 西日本新聞夕刊=