自治会の繰越金1億円、なぜ? 使い道決まらず困惑「どうすれば」

西日本新聞

福岡市西部のある自治会の決算文書。前年度繰越金は1億円を超えている 拡大

福岡市西部のある自治会の決算文書。前年度繰越金は1億円を超えている

 「うちの自治会、会費の繰越金が1億円を超えています」。福岡市西部に住む女性から、そんな情報が特命取材班に寄せられた。総会に提出された文書で判明したという。住民のレクリエーションや地域の清掃活動などを担う自治会に、億単位の金がどうしてプールされているのか。

 女性が所属する自治会は、900以上の世帯で構成する分譲住宅地の住民が会員になっている。見せてくれた2018年度の決算文書には確かに、前年度繰越金の欄に「1億1519万5725円」と記されていた。

 本紙は、入会金10万円を請求する福岡県糸島市の自治会のケースを1月30日付朝刊で紹介した。女性の自治会の場合、さらに高額だった。新規入居時に「自治会基金」として1世帯15万円、別に月々千円の会費を集めている。それらが積み重なって、数年前には1億円の大台を突破していたという。

 女性は首をかしげる。「これだけ多額の金がプールされているのなら、毎月の会費を下げてほしいと思う人もいます」

 一体、何のための資金なのか。

 取材に応じた自治会長によると、現存する集会所が人口増で手狭になったため、災害時の一時避難先も想定し、新たな集会所の建設資金にするつもりだった。ところが、建設予定地として住宅地内に確保していた空き地が、市の土砂災害警戒区域に指定されていることが分かった。危険な場所に建てるわけにいかず、計画は中断。以来、プール金だけが増えているという。

 自治会長は「代わりの土地もないし、どうすればいいのか」と困惑する。

 災害時の避難所は本来、行政が整備を担う施設のはず。そもそも、これほどの自治会費をため込んでいる事実をどうみているのか。福岡市コミュニティ推進課は「自治会は任意団体なので、会費の実態は把握していない。市が使途を指導できるものでもない」と距離を置く。

 使途が定まらず、宙に浮いた1億円超の自治会費。取材班にはこのほかにも、自治会費を巡る情報が続々と届いた-。

=2019/04/07付 西日本新聞朝刊=

「あなたの特命取材班」とは?

 西日本新聞は、暮らしの疑問から地域の困り事、行政や企業の不正告発まで、情報提供や要望に応え、調査報道で課題解決を目指す「あなたの特命取材班」を創設しました。「知りたいこと」を取材し、正確に深く報じる「ジャーナリズム・オンデマンド」に挑みます。
 知りたいことや困っていることについて、ご要望や情報をお寄せください。
ツイッターやフェイスブックの文中に「#あなたの特命取材班 」を入れて発信してください。LINEの友だち登録で取材班と直接やりとりもできます。
→詳しくは あなたの特命取材班 特設ページへ