私怨拭えず看板倒れ 頼みの高島氏動き鈍く 武内陣営「こんなはずじゃ」

西日本新聞

 福岡県知事選の投票終了と同時に落選確実の見通しが伝わると重苦しい沈黙が会場を包み、報道陣のカメラ音だけが響いた。福岡市であった自民推薦の新人武内和久氏(47)の報告会。麻生太郎副総理兼財務相は憮然(ぶぜん)とした表情で、喜びに沸く小川洋氏陣営のテレビ中継に目を向けた。

 擁立を主導した候補の惨敗。「当選させられなかったのはわれわれの至らぬところ。心からおわびする」。麻生氏は硬い表情で頭を下げたが、自民分裂を招いた責任には最後まで触れなかった。一方の武内氏。後援会長の麻生渡前知事らが見守る中、吹っ切れたような表情で「挑戦の機会をいただき本当に感謝している」と語った。

 1月末に党推薦を得て、麻生前知事を味方に付けた当初は、政権党のお墨付きと“ダブル麻生”の看板を背に自信を見せていた。だが党推薦を「ごり押し」した麻生副総理への反発は想像以上だった。相次ぐ党国会議員の「造反」や支持団体の離反。自民県議団は全面支援を約束したが、県議選への影響を懸念する議員の面従腹背は明らかで、街頭で1人マイクを握る姿が目立った。「推薦があれば(組織は)まとまると思った」と周囲にこぼした。

 最大の援軍と期待した副総理の“秘蔵っ子”高島宗一郎福岡市長が、武内氏支援を表明したのは告示前日。武内氏の遊説カーは「高島、武内は一体」と連呼し、ポスターに市長の顔写真シールを貼るなど共闘を強調。反転攻勢を図ったが、一緒に街頭に立ったのは告示日と最終日だけ。自らに近い市議、県議候補の応援に注力する市長に、陣営幹部は「こんなはずではなかった…」と声を落とした。結局、市長は7日夜の福岡での報告会にも顔を出さなかった。

 県と福岡市が対立する宿泊税問題の解決など政策論争に活路を模索したが、有権者から返ってくるのは「なぜ麻生さんは知事をいじめるの」という声。「選挙構図が政策をのみ込んだ」(支援議員)。選挙終盤には下関北九州道路建設計画を巡る麻生派参院議員の「忖度(そんたく)」発言が飛び出し、劣勢を決定付けた。

 「この選挙は初めから間違いだった」。自民推薦候補の惨敗という結果に、選対幹部は恨み節を漏らした。

 「栄えある、誇り高き自民党推薦候補として戦わせていただいた」。敗戦の弁で最後まで自民党への配慮を見せた武内氏。記者から「反麻生の壁」について聞かれても「いろんな考え方があるが、私は精いっぱいやった。私の力が及ばなかっただけだ」と気丈に語った。

=2019/04/08付 西日本新聞朝刊=

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