【乱流変流】(中)「麻生1強」崩れ混沌 福岡政界、見えぬ勢力図

西日本新聞

福岡県知事選で、支援してきた武内和久氏の敗戦を伝えるテレビ速報を見つめる蔵内勇夫自民党県連会長(左)と麻生太郎副総理兼財務相(中央)=7日午後8時、福岡市博多区 拡大

福岡県知事選で、支援してきた武内和久氏の敗戦を伝えるテレビ速報を見つめる蔵内勇夫自民党県連会長(左)と麻生太郎副総理兼財務相(中央)=7日午後8時、福岡市博多区

 福岡県知事選から一夜明けた8日夕、福岡市博多区の自民党県連。党推薦の武内和久氏の大敗で重苦しい空気が漂う中、県連幹部と同党県議団幹部が膝を突き合わせた。

 約1時間後。記者会見した蔵内勇夫県連会長はさばさばとした表情でこう語った。「統一地方選後半戦が終わった後、次の会長の選考に入る」

 県議団会長6期12年に続き、他県では国会議員が就くことの多い県連会長を歴代初めて2期(4年)連続で務める自民福岡の重鎮。麻生太郎副総理兼財務相とともに県政界をリードしてきたが、自民分裂選となった知事選での武内氏大敗の責任を取り、身を引くことを決めた。

 だが、県選出国会議員が二分し、県連立て直しが命題となる中、次期会長選の具体的な候補者名などは話題にもならなかった。

    ◇      ◇

 知事選での強引な候補者擁立劇は、「麻生1強」が招いた結果とも言える。

 麻生氏は事前の世論調査で武内氏が圧倒的に不利な情勢を把握していたにもかかわらず、現職小川洋氏に対抗馬をぶつけることにこだわった。その結果、地元の飯塚市でさえ、武内氏の得票率は約26%に低迷。3選した小川氏に2・5倍以上の差をつけられた。その責任を求める声は当然、麻生氏に向けられる。

 「身から出たさび」。党選対幹部はあきれた様子で話す。ある中堅県議は「自民を分断して、負けたら県連会長だけに責任を取らせるのか。ばかばかしくてやってられない」と厳しく非難した。

 県内では2012年12月の総選挙で世代交代が進み、派閥領袖(りょうしゅう)として麻生氏とともに「三国時代」を築いた山崎拓元党副総裁、古賀誠元党幹事長が表舞台から引退。現職として残る麻生氏への権力集中が加速し、「横暴さが目立つようになった」(県連関係者)。

 麻生氏は16年の衆院福岡6区補欠選挙でも選対本部長を務めた候補が大敗した経緯がある。知事選では麻生氏への反発から、県選出衆院議員の過半数が「造反」した。「麻生さんはもう中央政界でも県内でも大きな声を出せないだろう」。中堅国会議員は「麻生時代」の終焉(しゅうえん)を予言する。

    ◇      ◇

 8日夕、小川氏の姿は、知事選で陣営をけん引した山崎氏の事務所にあった。

 「蔵内さんが(県連会長を)辞めるとは思わなかった」。小川氏は困ったような表情で切り出した。

 自民県議団は40議席を維持し、最大会派であることは変わらない。その県議団と県連をつないでいた蔵内氏が引責辞任。二階派の武田良太衆院議員ら「反麻生」勢力は早速、選挙の公認権やカネの差配を握る県連会長ポスト奪還に動き、県内政局は混沌(こんとん)としている。

 小川氏は自民との関係について「政権与党で県議会の第1会派。共通の目標実現に向けて努力したい」と関係改善を見据えるが、その交渉相手が誰なのかも見極められない状況だ。

 麻生、蔵内両氏の「重し」を失う中、県政界の勢力図はどのように入れ替わるのか。「皆目、見当がつかない」。“勝者”のはずの山崎氏でさえ、戸惑いを口にした。

=2019/04/09付 西日本新聞朝刊=