「何かのお役に立てれば父も喜ぶと思います」

 「何かのお役に立てれば父も喜ぶと思います」。そんな便りと一緒に、読者の女性から一冊の手記をいただいた。ミャンマー(旧ビルマ)北部で、第2次大戦中に犠牲になった日本兵の遺骨調査が本格化している、という記事を書いた直後のことだ。手記は亡き父親がビルマ戦線の体験をつづったものだという。

 一読して、その壮絶さに息をのんだ。紙一重の差で生死が分かれる戦場。白骨化した数十体の遺体の中を、水を求める傷病兵の願いに耳を貸すことすらできずに退却した。生還できたのは部隊の14人に1人。1人涙ぐみながら書いた夜もあった、という。

 ミャンマーだけでも未帰還の遺骨は4万5570柱に上る。遠い異国に置き去りにされたまま、朽ち果てる無念とは、いかばかりだろうか。「父は亡くなる寸前まで、戦友の遺骨が収集されることを願っていました」。戦後はまだ終わっていない、手記はそう訴えていた。 (浜田耕治)

=2019/04/10付 西日本新聞朝刊=

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