熊本の地下水増えていた 熊大准教授ら調査、震災前と比較 地中亀裂、阿蘇から流入か

西日本新聞

池の底が姿を見せた水前寺成趣園=2016年4月30日、熊本市中央区 細野高啓准教授

 2016年の熊本地震後に、熊本市など阿蘇外輪山山麓で減ったと思われていた地下水が、むしろ増加傾向にあることが熊本大大学院先端科学研究部の細野高啓准教授(水圏環境科学)ら日本地下水学会調査班の共同研究で分かった。海と山間部では降る雨水の重さがわずかに違う点に着目して水を「追跡」した結果、阿蘇外輪山で蓄えられる山体地下水などが平野部の地下水脈に多く流れ込んでいることを突き止めた。地震で地下水脈に通じる亀裂が多数生じたためとみられる。近く熊本市内であるシンポジウムで発表する。

 同市は阿蘇山麓などで涵養(かんよう)された豊富な地下水で74万人の水道水をまかなう。地震直後に市内の名勝水前寺成趣(じょうじゅ)園の池が枯れるなど異変が発生したことから、調査班が16年度から3年計画で市周辺94カ所の地下水観測井戸の水位や水質の変化を分析してきた。

 研究によると、地震の数分後から市周辺で地下水位が最大約5メートル低下したが、数日から1カ月で水位はほぼ回復。一方、地震2カ月後ごろから熊本市より東側で地下水位の上昇が顕著になり、地震1年後には阿蘇山麓の観測井戸の9割で上昇した。変化は最大約5メートルに達した。

 調査班は、上昇した地下水の重さを分析。山間部に降る雨水は、海水から雲になり山に運ばれる過程で「同位体」と呼ばれる重い水の割合が減ることが分かっており、地下水の同位体の比率を地震前と比較した。その結果、阿蘇山周辺の山体地下水が従来よりも多く、地下水脈に流れ込んでいることが分かった。

 細野准教授はこの地下水について「水質は良く、水道水への心配はない。水位の上昇は亀裂の目詰まりなどにより数年単位で収まる可能性がある」とみる。

 一方、地震後に水前寺成趣園などで湧き水が一時的に枯れたのは、地下水脈の下に亀裂が生じたためとみられ、地下水で亀裂が満たされた後に水位が回復した可能性が高いという。シンポジウムは13日午後1時半から、熊本市中央区のくまもと県民交流館パレアである(入場無料)。

=2019/04/10付 西日本新聞朝刊=