900円バス旅、街も里も 1日フリー乗車券で福岡市内を周遊

西日本新聞

脇山小学校前のバス停。3月末は桜が満開で、雨風を防ぐ麓の待ち合いスペースを包んでいた 拡大

脇山小学校前のバス停。3月末は桜が満開で、雨風を防ぐ麓の待ち合いスペースを包んでいた

志賀島小学校前を出発するバス 伊都キャンパスの終点「九大総合グラウンド」には昭和バスも乗り入れている。後方は「風レンズ」の風力発電設備 福岡市と大野城市の境近くにある山田バス停。昔ながらのバス停の風情が漂う 購入した「福岡市内1日フリー乗車券」

 日本一のバス保有台数を誇る西日本鉄道(福岡市)には、お得な乗車券が何種類もある。その一つが「福岡市内1日フリー乗車券」(大人900円)。春先の暖かい風に誘われてふと思い立ち、市内を端から端まで回ってみた。福岡都市圏は天神や博多のビル街のみならず、波打ち際の海岸、山あいの田園地帯、住宅街も楽しめるのが大きな魅力でもある。多様な光景を丸1日堪能した。

 バス旅は3月30日土曜日の午前6時すぎに始まった。福岡市・天神の西鉄天神高速バスターミナルの窓口で乗車券を購入。すぐにスクラッチで日付を表示し、出発の準備完了だ。

 午前6時57分、天神中央郵便局前のバス停から志賀島行きに乗り込む。約1時間で到着。志賀島の漁港周辺を歩くと潮風が心地よい。散歩中の犬になつかれた。ちょっとうれしい。

 戻って和白で下車した。既に正規運賃で千円を超え、しっかり元は取った。市内北端の福工大前駅入口(いりぐち)へ。この先は福岡県新宮町で、乗り越すと別運賃になるのでご注意を。

 乗り継ぎで博多バスターミナルへ。ヤフオクドームへのバスは外の歩道まで長い行列。太宰府行きバスも、大きな荷物を抱えた外国人などで混雑していた。次は南に行こう。午前10時42分発の雑餉隈営業所行きバスに乗る。10人ほどの乗客が次々に降り、ぽつんと自分だけに。終点の一つ手前、山田のバス停までが福岡市内だ。旧国道沿いに店が並び、住宅街も広がる。バスを1本見送って周辺を散策し、ついでに早めの昼食でラーメンを食べた。

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 次の目標は九州大伊都キャンパス。平日は1時間に2本だが、土曜は毎時1本。午後0時48分に博多駅前を出発した便は少し混んでいた。キャンパス内で次々に人が降りる。終点は九大総合グラウンド。この日は風が強く、風力発電の羽根がうなりを上げて回っていた。自転車で通りかかった男性(60)は「信号がなくてサイクリングしやすいですよ」と話していた。

 戻る途中、生の松原団地南で乗り換え。荒江四角では、脇山小学校前行きのバスにすぐ乗れた。乗客は多かったが、終点は自分一人。午後5時半ごろ、脊振山の麓にあるバス停に到着した。山に囲まれた緩やかな斜面に田畑が広がる。のどかな夕暮れ。バス停の上には桜が咲き誇る。近所の男性(67)は「バスはあまり乗らないねえ。でも車を運転できなくなったら、お世話になるかも」。

 午後6時9分発のバスに乗り込む。窓の外は次第に暗くなる。今日はこれで終わりかな。天神に戻った。

 計算してみると、全て正規運賃だと5千円以上。それが900円で乗り放題になり、手軽な旅行になった。さて、次回はどこに。学生街から様変わりした六本松に油山、航空機の離着陸が楽しめる福岡空港周辺…。900円で楽しめるバス旅の行き先は豊富にある。

北九州版や全九州版も好評

 福岡市内1日フリー乗車券 福岡市内を走る西鉄の路線バスに1日何度でも乗り降りできる乗車券。観光や出張などの際にバスを利用しやすくするため2016年6月から販売。対象となる福岡市内のバスは約80路線、約1100台。バスセンターやバス車内などで購入できる。大人900円。乗車券に印刷された利用日の日付を削っておき、乗車時に整理券を取り、降車の際に日付を乗務員に見せればOK。年間約14万枚の販売実績がある。

 西鉄のバス乗り放題乗車券ではこのほか「北九州都市圏1日フリー乗車券」(800円)なども発売。九州や山口県下関市の高速バスや路線バスの大半が乗り放題の「SUNQ(サンキュー)パス」(全九州+下関で3日間1万1000円など)も好評という。

=2019/04/11付 西日本新聞朝刊=