雨なし崩落、地下水を調査 耶馬渓、阿蘇、大隅で 危険地域判定手法を確立へ

西日本新聞

 大分県中津市耶馬渓で昨年4月に発生した山崩れが雨が降っていない状態で、地下水に誘発されたことを受け、国土交通省九州地方整備局が、耶馬渓のほか、同様の地質が広がる熊本県阿蘇地方と鹿児島県大隅地方で地下水調査に乗り出したことが分かった。九地整は調査を通し、地下水が集中する崩落危険地域の判定手法の確立を目指す。

 大分県の調査では、耶馬渓の現場一帯は約300万年前の火山噴火でできた岩盤の上に、火砕流堆積物が重なっており、地下水の影響で上部の層が地滑りしたことが分かっている。

 国交省国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)によると、九州で明治以降、耶馬渓と同様に雨が降っていない状態で起きた土砂崩れは15件。九州には火砕流が堆積した「火砕流台地」が多く「無降雨時崩壊」が起きやすいとしている。

 近年は大雨が増え、水が浸透しやすい火砕流台地では地下水が急増する恐れがある。九地整は昨年10月から耶馬渓、阿蘇地方、大隅地方の3地域で調査を開始。火砕流台地周辺の湧水の水質調査や航空機からの空中電磁探査で、崩落が起きやすい地下水の集中箇所などを調べている。

 2019年度中に終える見込みで、大まかな崩落危険地域を示したい考え。学識経験者らで調査内容を検証し、判定手法の確立を目指す。国交省も「手法が全国に拡大できるか検討する」と期待している。

 無降雨時崩壊に詳しい鹿児島大の地頭薗隆教授(砂防学)は「土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域指定などと同様に、ハザードマップ上に無降雨時崩壊のリスクが高い地域を図示できるよう国は法整備を進めるべきだ」と話した。

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 耶馬渓の山崩れから1年となった11日、奥塚正典・中津市長らが現場を訪れ、犠牲者の住民6人を悼み黙とうをささげた。

=2019/04/12付 西日本新聞朝刊=