脱「天満宮集中」の好機 「令和」で沸く太宰府市 関係者、周遊観光へ意気込む

西日本新聞 ふくおか都市圏版

新元号「令和」の公表を受け、新たに太宰府市が作成した市内の観光マップ 拡大

新元号「令和」の公表を受け、新たに太宰府市が作成した市内の観光マップ

 1日に新元号「令和」が発表されて以降、ゆかりの地とされた太宰府市に全国から観光客が押し寄せている。太宰府観光の長年の課題は「太宰府天満宮一帯への一極集中から、大宰府政庁跡周辺など広域エリア周遊へ」-。関係者は「千載一遇のチャンス」と意気込む。

 「こんなこと、初めてですよ」。太宰府市の観光担当幹部は7日朝、新聞各紙を開いて驚きの声を上げた。「坂本八幡神社と大宰府政庁跡-祝!新元号『令和』ゆかりの地」とうたった旅行代理店の広告が、ばんと載っていたのだ。

 坂本八幡神社は、新元号ゆかりの「梅花の宴」が催された大伴旅人邸跡とされている候補地の一つ。これまでは訪れる人もまばらだったが、今や行列ができ、特に政庁跡から歩いてくる観光客が目立つという。

 梅花の宴を再現したジオラマがあり、こちらも新観光名所となった大宰府展示館にも、旅行代理店から「団体ツアーで行きたい。史跡解説を」との電話が相次ぐ。同館を運営する古都大宰府保存協会(ボランティア史跡解説員約70人が所属)への協力要請だ。

 降って湧いた「令和」フィーバー。太宰府市は急きょ、古代の大宰府と万葉集を解説したチラシやパネルをつくり、一般車両用の臨時駐車場も確保した。楠田大蔵市長は「市の悠久の歴史に光が当たり、光栄でありがたい。万全の対応をしていきたい」と話す。

 経済効果への期待も高まる太宰府市には、学ぶべき“先輩”がいる。岐阜県武儀町(むぎちょう)(現・関市)平成(へなり)地区だ。

 1989年1月。現元号「平成」が発表されると同時に、農山村地区のこの集落に全国から観光客が殺到した。旧武儀町職員で後の町長、福田尚雄(ひさお)さん(76)は振り返る。「役場の電話は鳴りっぱなし。車が続々と来てね、もちろんマスコミも」

 特産シイタケを使ったお土産「平成椎茸(しいたけ)すなっく」は、瞬く間に年間5千万円を売り上げるヒット商品となった。福田さんは、「令和」の太宰府に対し「もともと観光地だし、国民の喜びをすくい取る仕掛けをされたら面白いかも」とエールを送る。

 太宰府の強みは、蓄積の豊かさだ。太宰府発見塾や大宰府万葉会で、古代以来の伝統・文化が市民に学び継がれてきた。今の太宰府熱を、蓄積を生かして長期的なまちづくりに生かしていけるかが問われる。

 元号発表後、大宰府政庁跡前の緑茶販売・喫茶「三十三(みとみ)茶屋」の売り上げは、通常の4倍になった。主の松谷正徳さん(40)はお客によく尋ねられる。「記念の土産品はないですか?」

 先日、店に地元店舗経営者らが集まり、アイデアを出し合った。挑戦の第一歩。Tシャツ、和菓子などに加え、梅花の宴の歌の序文にある「蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」にちなんで香り袋を創作しよう、そんな斬新な案も飛び出した。

=2019/04/12付 西日本新聞朝刊=

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