超高齢化の処方箋示せるか 春日市長選14日に告示 現新の2氏出馬表明

西日本新聞

 春日市長選は14日、告示される。今回の統一地方選では福岡都市圏で唯一の市長選で、これまでにいずれも無所属で、6選を目指す現職の井上澄和氏(68)と、新人で元市議の近藤幸恵氏(61)の2人が立候補を表明した。「安定」か「刷新」かの対立軸に加え、同市長選で初めて女性が立候補することも焦点。投開票日の21日に向け、一騎打ちの論戦が展開されそうな春日市の現状を探った。

 「こっちの漢字は分かるけど、そっちは何やろかね」。3月。春日市内の公民館で開かれた紅葉ケ丘地区自治会の「カフェ」には、お年寄りを中心に地域住民が集まり、飲み物を手に漢字パズルを楽しむにぎやかな声が広がった。

 市内の公民館では最近、こうしたカフェの開催が増えている。背景にあるのは高齢化だ。

 1972年に春日町が市制施行し、誕生した春日市。当時の人口は4万5016人だったが、福岡市のベッドタウンとして人口が増え続け、97年には10万人を突破。現在は約11万3千人に上る。

 若い街のイメージが強いが、昨年7月には高齢化率が21%を超え、超高齢社会に突入した。他の自治体と同様に、高齢化への対応が大きな課題となっている=グラフ参照。

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 市内には現在、特別養護老人ホームは1施設だけ。ニーズに対応できるよう、新たに2施設の整備が進められているが、市民から「対応が遅い」との声も聞かれる。

 高齢者施設のハードとは別に、ソフト面での役割を担うのが自治会だ。誰でも利用できるカフェは、会話の場、出会いの場として高齢者の引きこもり防止の役割も担う。他にも運動を利用した介護予防教室など、「(官民)協働のまちづくり」を掲げる市で、自治会はさまざまな事業で主役を引き受けている。

 今後も高齢化が進む中、自治会はどこまで対応できるのか、すべきなのか-。市長選の候補者には、その処方箋も示すことが求められそうだ。紅葉ケ丘地区自治会の長田武士会長(76)は「特にここはサラリーマン世帯が多い。定年延長なども見込まれる中、自治会活動を支える担い手不足が心配」と語った。

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 もう一つ、課題がある。恒久的な水源の確保だ。

 春日市、那珂川市への給水を担う春日那珂川水道企業団では、違法取水問題が発覚。恒久水源の確保が急務だったが、昨年10月、企業団はめどが立ったと公表した。

 新たに水源に加えたのは、那珂川市を流れる猿山川、西畑川の2河川。河川水の利用には長期間にわたる流況調査など河川法に基づく条件があるが、2河川は適用外の普通河川のため、短期間で水源としての活用にこぎつけられた。県にも説明しているという。

 現在は不足分の水源を福岡市などに頼っており、その期限は本年度末に来る。企業団は、新水源の取水設備などを約9億5千万円かけて整備する方針で、「着実に工事を進める。水道料金には影響しない」。丁寧に説明し、市民に安心感を持ってもらうことも新市長の仕事となる。

=2019/04/12付 西日本新聞朝刊=