完熟イチゴが大変身 福岡・大木町の「いちごのかけら」

西日本新聞

 「これ、食べてみてもらえますか?」。福岡県大木町の地域おこし協力隊員、水町凪沙(なぎさ)さん(25)が取り出したのは、なんとも美しいピンク色の菓子「いちごのかけら」=写真。

 「キャンディー? ゼリー菓子?」。そう問い掛けながら口に入れると、表面はシャリッ、カリッで、中は軟らか。かむと素朴なイチゴの風味とやさしい甘さが広がる。琥珀(こはく)糖という和菓子の製法をヒントに、同町産の完熟イチゴのシロップと砂糖、寒天だけでこしらえたのだという。

 熊本市出身の水町さんは大学で栄養学を学んだ後、2年前に大木町へ。協力隊員として町の人々と触れ合ううち、観光イチゴ農園経営者の「この時季、イチゴはどんどん熟れるけど、平日にお客さんが少ない時は、おいしい完熟イチゴが収穫されないまま、無駄になってしまう」というつぶやきを耳にした。

 西日本一の生産量を誇るキノコやヒシ、イグサなど特徴ある農産物はあっても、観光地のようなお土産はまだまだ少ない大木町。水町さんは完熟イチゴで、イチゴ狩りに来た女子が帰りに買いたくなるようなお菓子を作ろうと考えた。

 町内の加工場で、1人でできるだけの量をこつこつと作る。「水を一滴も加えず作るいちごシロップは、着色料なしでも、こんなきれいな色が出るんですよ」

 この原稿を書いている合間にも、ひとかけら。小さな町で生まれた小さなお菓子は、心和む味がする。

 ▼いちごのかけら 30グラム入り450円(税込み)。福岡県大木町横溝の「道の駅おおき」横、町地域創業・交流支援センターWAKKA(わっか)で販売。取り寄せも可。少量生産なので在庫の確認を。WAKKA=0944(78)2472(午前9時~午後6時、月曜休)。

=2019/04/13付 西日本新聞夕刊=