校則“高校生らしい”とは? 服装や頭髪「根拠ない」憤りも

西日本新聞

 【校則の?・1】子どもたちが学校生活を送る上で一定のルールを定めた校則。まず取り上げられるのが服装と頭髪の規定だ。取材班が福岡県の県立高校、中等教育学校全95校を調べたところ、ほぼ全ての学校で明記され、前提として「高校生らしい」という言葉が使われていた。時代とともに環境が変わっていく中、「らしい」という言葉をどう捉えればいいのか-。

「らしさ」時代で変わる

 「夏は下着の色までチェックされる。もう少し個性を生かせないのか」(福岡県内の公立高3年女子)。

 取材班が若年層を対象に無料通信アプリLINE(ライン)を通じて校則への意見を求めたところ、多くの声が寄せられた。目立ったのは疑問や不満だ。

 女子生徒によると、入学時、新入生全員に配られた資料には、夏服の際に着用できる下着の色などが細かく示されていた。服装検査は3カ月に1回程度行われていたという。

 取材班の調査では、福岡県立高28校が女子の下着の色を白や紺などと限定、多くが柄物を禁じていた。理由について記述式のアンケートで尋ねると「清潔に見え、印象がよいと思われる」「白のブラウスから透けず、制服との調和を保てる」「見えないところにも気配りすることで、制服と私服の区別を付ける」といった回答だった。

「根拠ない」疑問や不満

 癖毛に悩まされていた福岡市の女性(22)は中学生の頃、校則で認められた細いヘアピンでは髪が留まらず、太いピン(パッチン止め)をして登校した。すると、検査の際にベテランの女性教師から厳しい口調で注意された。「個性が尊重され、多様性を認める時代なのに校則にはあまり変化がなく、根拠のないものが残っている」。女性は「らしさ」は時代とともに変わるはずだと訴える。

 福岡県立高校のほとんどは髪の長さを規定。男子の前髪は目または眉、後ろは襟、横は耳に掛からない、女子の後ろ髪は肩の線までとし、それ以上は結ぶこととしていた。髪を結ぶゴムやヘアピンの色も黒、紺など一部に限定。リボンやシュシュ、髪飾りは禁止する学校もあった。

 一方、各学校で定期的に実施される頭髪などの「容儀検査」は事前告知されることが多い。宮崎県の高校3年男子は検査に備えて前髪を切ったが、担当教師から曲がった癖毛の前髪を無理やり押さえつけられた上で違反だ、と大声で怒鳴りつけられたと訴えた。

 「風紀の乱れは心の乱れというが従うのは検査の時だけ。こういったことがあると、生徒の不満は一層高まり、結局は検査を乗り切るための能力を培うだけだ」と声を潜める。

 癖毛や生まれつき髪色が薄いなど特徴のある生徒は入学時に地毛申請を提出させたり、保護者に申告させたりする学校は多い。ただ現役の高校生たちは「幼少の頃の写真を探させて、そこまでする必要があるのか」「先生によって髪の色を判断する基準はバラバラ。いいかげんな規制なら必要ない」と憤る。

文科省「絶えず見直し」

 生徒の管理、統制といったイメージのある「校則」だが、その形は学校ごとに異なる。アンケート結果などからも生徒の義務や罰則など細かい条文を整える学校もあれば「“校則”は定めておらず、生徒心得で決めている」とする進学校もあった。

 文部科学省は校則について「児童生徒が順守すべき学習上、生活上の規律として定められ、健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針」と定義。一方で「内容は児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない」とも呼び掛ける。

 しかし福岡県立高校の校則には、例えば禁止する男子の髪形で「アイパー(アイロンパーマ)」「コテ」「リーゼント」など「昭和」を感じさせる表現がなお目立ち「積極的な見直し」の形跡は見えない。「平成」を経て「令和」を迎える今、時代遅れ感は顕著だ。

 こうした校則を教育現場はどう考えて運用しているのか。次回は先生たちの声を紹介していく。

校則を巡る動き 校則を巡っては1970年代以降、校内暴力が社会問題化したことなどを受けて厳格化したとされる。81年、熊本県の中学生親子が「丸刈りの校則は基本的人権を侵害し、憲法違反」などとして学校や校長を提訴。熊本地裁は85年の判決で「丸刈りが現代において最も中学生にふさわしい髪形であるという社会的合意があるとはいえない」と指摘。一方で「男子児童生徒の髪形の一つとして社会的に承認され、必ずしも特異な髪形とは言えない」として訴えを退けた。

 90年には兵庫県立高校で遅刻の取り締まりをしていた教師が校門を閉めようとした際、女子生徒が挟まれ死亡する事件が発生。校則の是非が議論され、当時の文部省は91年、校則の積極的な見直しを求め、適切な指導を各教育委員会に通知した。九州でも、95年に福岡県飯塚市の私立高で教師の体罰により女子生徒が亡くなる事件があり、校則の厳しさが問題になった。

 2017年には大阪府の女子高生が生まれつき茶色っぽい髪を黒く染めるよう教師らに強要され、不登校になったとして府に損害賠償を求めて提訴した。

=2019/04/14付 西日本新聞朝刊=

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