ルフィの仲間像、益城には「サンジ」 給食施設損壊、コックを誘致

西日本新聞

本格稼働を始めた熊本県益城町学校給食センター。安田弘人所長は「サンジ像設置が決まりうれしい」と喜ぶ 拡大

本格稼働を始めた熊本県益城町学校給食センター。安田弘人所長は「サンジ像設置が決まりうれしい」と喜ぶ

 熊本県は17日、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公ルフィの仲間8キャラクターの像について、県内8市町村に設置すると発表した。熊本地震で甚大な被害を受けた益城町には、コック「サンジ」の像設置が決まった。サンジを希望した背景には、地震で町学校給食センターが被災し、満足に食べさせられなかった経験がある。移転し、再建した給食センターは今月、ようやく本格稼働。関係者は「像が復興の象徴になれば」と喜ぶ。

 地震前の給食センター(1979年建築)は、町内小中7校に給食を提供していた。老朽化し、町が建て替えの検討を進めていた2016年4月、2度の激震。建物は傾き、ボイラーも破損、復旧困難になった。

 町内の学校は同5月に再開したが給食センターは使えない。「何とかしないと」。当時、所長だった内村康成さん(51)は避難所から給食の手配に奔走。最初はパンとソーセージなどの「簡易給食」、その後は弁当業者への委託でしのいだ。

 1年後、再開にこぎつけた「温かい給食」は、熊本市の給食センターや、隣接する同県御船町に設けた仮設調理場から運んだもの。自前の給食センター建設は復興への願いとも重なり、住民の“悲願”となった。

 新給食センター建設の総事業費は20億5千万円。うち10億円の負担は町には重かったが、18年5月に着工。町はクラウドファンディングで支援も募り、今年3月末までに約1100万円が集まった。

 「多方面から助けていただき勇気づけられた」と内村さん。当時、ワンピース作中でサンジが修業したレストランの絵を新センターの壁面に描き「返礼品」として寄付者が分かる印を添える構想もあった。実現はしなかったが、給食センターの被災体験が町内へのサンジ誘致につながった。像は、町交流情報センター「ミナテラス」に置かれる。

 給食センターは10日、地震前と同じ7校に給食提供を再開。備蓄庫など防災面の機能を充実させた。安田弘人所長(60)は「町のアピールにつながるといい」と期待を込めた。

=2019/04/18付 西日本新聞朝刊=