犯罪被害者支援に地域差 佐賀全自治体が条例 福岡は県と2市のみ

西日本新聞

 犯罪被害者や家族の生活支援を盛り込んだ条例制定を巡り、地域差が鮮明になっている。九州7県では佐賀、大分の全自治体が制定したのに対し、福岡と長崎、熊本は2~3自治体にとどまり、宮崎と鹿児島はゼロ。犯罪被害者の支援団体は「地域によって支援の違いがあるのはおかしい」と格差解消を訴えている。

 2004年に成立した犯罪被害者等基本法は、見舞金の支給や住居の確保など、犯罪被害者を社会全体で支える施策の導入を自治体に求めた。根拠となる条例や基本計画の整備が望ましいとされ、基本法施行後に各地で条例制定が進んだ。

 犯罪に遭うと、被害者や家族は治療費負担などによる支出増、職を失うことによる収入減、周囲の言動による二次被害に苦しむ実態があり、条例には見舞金の支給、居住や就労の安定策、市民理解の促進が盛り込まれるケースが多い。

 警察庁によると、関連する条例を制定した自治体は18年4月時点で31都道府県(66%)と446市区町村(26%)。九州では19年4月1日時点で、佐賀が県と全20市町、大分も県と全18市町村で制定。福岡は県と北九州、宗像の2市、長崎は2市、熊本は2町1村で、宮崎と鹿児島は未整備だった。長崎県は19年度に制定する方針。

 佐賀、大分で条例制定が広がった背景には、市民団体や警察の積極的な取り組みがあった。

 17年9月に制定率100%になった佐賀県は、県警や「被害者支援ネットワーク佐賀VOISS(ボイス)」が空白地域をなくそうと連携。当時の県警本部長が市町に条例の意義を説明して回った。大分県では被害者遺族でつくる「ピアサポート大分絆の会」が自治体に働き掛け、18年4月の県条例施行から半年足らずで全市町村に浸透した。

 一方、制定が進んでいない福岡県の担当者は「各自治体が必要性を感じていないから広まっていないのだろう」。鹿児島県は「犯罪被害者支援の指針があるので、条例の必要性を感じない」と説明する。

 VOISSの田口香津子理事長は「条例はある程度広まってきたので、次の段階では自治体の支援の差がなくなるといい」と話している。

=2019/04/18付 西日本新聞朝刊=

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