長崎市長選 候補者の横顔

西日本新聞

高比良元氏=無所属新人 田上富久氏=無所属現職 橋本剛氏=無所属新人 吉富博久氏=無所属新人

 ともに8年ぶりの選挙戦となった長崎、佐世保両市長選は21日に投開票される。長崎市長選には新人の元県議高比良元氏(66)、現職の田上富久氏(62)、ともに新人の元市議橋本剛氏(49)、元市議吉富博久氏(74)が立候補している。各候補の横顔を紹介する。 (届け出順)

“こわもて”のシャイ 高比良 元氏=無所属新人

 県庁マン、旧三和町長、市議、県議…。行政、政治の現場に身を置いて40年余り。生まれ育った長崎市が変革を迎えるに当たり、「地方自治に関わった経験を、最も深い形で生かしたい」と出馬を決めた。

 県庁マンとしての「成功事例」と胸を張るのは、1990年に開催した「旅博覧会」。中華と西洋が混在する長崎の中心市街地を歩き、魅力を体感してもらう演出を仕掛け、188万人を集めた。「街がまるごと観光の舞台になる、という発想を得た」と振り返る。

 趣味と言えるものはなく、暇を見つけては地方自治に関する本を読みあさる。「本当に仕事が好きなんだよなぁ」と本人。町長選に出馬の時には妻から離婚を突き付けられたというが、それでも貫き、結局は理解と協力を取り付けた。今では「一心同体で向き合ってくれている」と、感謝する。

 人前に立つことが多い人生。こわもて、と周囲には指摘されているが、実はシャイ。表情は「緊張の証し」と主張する。

信念は「ちゃんぽん」 田上 富久氏=無所属現職

 12年前、長崎市長選のまっただ中に起きた前市長銃撃事件を受け、政治の世界に飛び込んだ。

 「無謀」ともやゆされたが、「無縁」だったとは思わない。大学で地方自治を学んだことをきっかけに市役所に就職。職員時代の口癖は「市長になったつもりで仕事をする」だった。

 思い出深い取り組みは、街全体を観光地に見立てて住民がガイドを担う「長崎さるく博」。市民参加のスタイルを通じ「地域の課題を自分の課題とすることで、前進するエネルギーが生まれる」との確信を得た。市長就任後はいろんな考えの市民が集まって、まちづくりを話し合う「ちゃんぽんミーティング」をスタート。市民の個性を多様な具材に重ねた。

 近年、力を入れるのは大型コンベンション(MICE)複合施設。ソフトからハードに転じたとも指摘されるが、必要だと思えば相手にとことん説明する。信念を曲げるのが嫌いと言うものの、本当の好物はちゃんぽんではなく皿うどんだ。

「変革」込めたカエル 橋本 剛氏=無所属新人

 長崎市中心部でじわりと広がる「カエル」のポスター。自身の姿をカエルに見立て、スローガンの「長崎を変える」に引っ掛けるアイデアだ。

 告示前に街中に貼った眼鏡をかけた1作目は「似過ぎている」との市選管の指摘を受け、急きょ眼鏡の無い2作目に差し替えた。多様なアイデア、才能のある人たちに支えられていることを実感した瞬間でもあるという。

 長崎市で生まれ、県職員だった父の転勤で五島列島や佐世保市でも過ごした。中学生のころに読んだ司馬遼太郎の小説「胡蝶(こちょう)の夢」に描かれた長崎の歴史に感銘を受け、愛着を深くした。農水官僚の地位をなげうって出馬した知事選には落選したが、市議に初当選。地方自治体の課題に目を向ける中で「自分がリーダーに」との思いを強くした。

 イメージカラーは、カステラやビワなど長崎の名産品にちなむ黄色。先行きが明るくなるようにとの思いも込めた。トレードマークの丸刈りは2週間ごとに自分でカットする。

「白いご飯」を原点に 吉富 博久氏=無所属新人

 今夏、JR長崎駅西側で建設が始まる大型コンベンション(MICE)複合施設。これには巨額の税金が投入されるのに、高齢者の福祉や乳幼児医療への投入は不十分だと感じている。「長崎市を変えるのは今しかない」。行政への不信を募らせ、2003年に次ぐ2度目の挑戦を決断した。

 長崎市出身。3歳で母を亡くし、昼間は寺に預けられた。5歳のころ、近くに暮らす女性が天ぷらと白いご飯を食べさせてくれたことに感動。「困った人の役に立つ仕事がしたい」。政治を志す原点となった。

 1983年に市議に初当選し、5期20年。政治家としての生きざまを当時の本島等市長から学んだ。「意見が異なる人も、まずは受け入れる。かつて長崎にあったそんな政治を再現したい」。現場を退いてから16年が経過したが、感覚は鈍っていないと言い切る。

 運営する保育園では子どもを優しく見つめる好々爺(や)。趣味のゴルフは「忙しくて5年近くできていない」と苦笑いする。

=2019/04/18付 西日本新聞朝刊=