博多人形「空吹き窯」復活 「技術後世に」願い実る 福岡市・武吉さん

西日本新聞 ふくおか都市圏版

空吹き窯の復元作業を進める若手人形師たちと武吉國明さん(右)=12日午後、福岡市西区 拡大

空吹き窯の復元作業を進める若手人形師たちと武吉國明さん(右)=12日午後、福岡市西区

 まきを燃やして博多人形を制作する古来の土窯「空吹(そらぶ)き窯(がま)」が、若手人形師たちの手で福岡市の老人形師の工房に復活した。焼きムラが独特の味わいを見せるとされ、かつては多くの人形師が使っていたが、手間がかかるためにすっかり姿を消していた。復元計画が持ち上がって3年。「伝統技術を後世に伝えたい」という願いがようやく結実した。

 復元を呼び掛けたのは博多人形商工業協同組合理事長で博多人形師の武吉國明さん(78)=同市西区。「昔は窯に付きっきりで火加減を見るのが若い弟子の仕事だった」という。空吹き窯は江戸時代ごろから1970年代まで続いた窯だったが、火力調節が難しく、仕上がりにばらつきも多いため、次第に電気窯などに置き換えられた。

 復元は3年前に若手人形師から「空吹き窯に挑戦したい」との声が上がったのがきっかけ。最後の空吹き窯世代である武吉さんを中心に復元計画を具体化。途中、武吉さんの体調不良で停滞した時期もあったが、地道なリハビリで体力を回復し、実現にこぎ着けた。

 再現された窯は、円筒形の本体に人形を入れ、側面にある「たき口」からまきをくべて焼く形。縦1・6メートル、横1メートル、高さ90センチほどで約200個の赤れんがを積み上げ、粘土質の土で塗り固められている。窯内の底面が、たき口から奥へ微妙な上り傾斜になっており「傾き具合が良くないと火が回らない」(武吉さん)。既に独立した弟子が3月末から週末ごとに集まって今月12日、窯を作り上げた。

 武吉さんは「江戸期から受け継がれた空吹き窯は、博多人形師が絶対に知っておくべき技術。昔の記憶の通りの出来栄えだ」と満足そうだった。5月には実際に人形を焼く予定で弟子の人形師永野繁大さん(42)は「まきで焼いた人形がどんな魅力を見せるのか楽しみ」と話した。

=2019/04/18付 西日本新聞朝刊=