スマートフォンに保存しているモノクロ画像

西日本新聞

 スマートフォンに保存しているモノクロ画像。中央にウエディングドレス姿の母が写る。その周りは大勢の見物客でごった返している。1960年。故郷の島では、ウエディングドレスでの挙式は初めてだった。洋装の花嫁を一目見ようと、島の人たちが式場の神社境内に集まった。

 当時1万人を超えていた島の人口は、今では約2千人。戦後、経済成長の過程で、地方からはどんどん人が吸い上げられた。コミュニティーを維持するのも難しい「限界集落」は目に見えて増えている。故郷でも、写真のようなにぎわいは見られなくなった。

 統一地方選は終盤。各地で「なり手不足」から、無投票の選挙が増えている。13年前に約60キロ離れた本土の市と合併した故郷でも、市長選と市議選があるが、候補者に島在住者はいない。活力を奪われ、声を出す力さえ失いかけている地方。託される1票の重みを、候補者たちは肝に銘じてほしい。 (宮崎省三)

=2019/04/19付 西日本新聞朝刊=

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