“科捜研の男”学位取得 福岡県警・辻田さん ヘリウムガス自殺の鑑定で新手法

西日本新聞

九州大大学院農学博士の学位を取得した福岡県警科学捜査研究所の辻田明さん 拡大

九州大大学院農学博士の学位を取得した福岡県警科学捜査研究所の辻田明さん

 ヘリウムガスを吸引して死亡した人の死因を特定する新たな鑑定法を確立したとして、福岡県警科学捜査研究所(科捜研)の職員辻田明さん(47)が九州大大学院農学博士の学位を取得した。県内では毎年数人がヘリウムガスで自殺。死因特定に4日ほど要していたが、新鑑定で1日に短縮した。辻田さんは「ガスが微量でも早く確実に鑑定ができ、犯罪の見逃しも防ぐことができる」と語る。

 県警によると、ヘリウムガスを使った自殺は2002年ごろから米国を中心に増加。インターネットに掲載され、ガスの入手も容易なため悪用されている。無味、無臭、無色で揮発性が高く、検視での死因特定は容易ではない。解剖でも数日かけてガスの検出が必要で、死後時間が経過した遺体は鑑定もできなかった。

 辻田さんは、1997年に県警に入り、現在は薬毒物や繊維、塗料の鑑定を担当。2016年から九大生物資源環境学府に在籍し、休日などに研究を重ねた。

 新鑑定に用いるのは、化学成分を分析する「ガスクロマトグラフ質量分析計」を改良した機器。検査に使う金属製の管の長さを倍にするなどの工夫をし、微量の血液からでもガスを検出できるようにした。血液を適切に保存すると死後数カ月たっても鑑定することが可能という。

 世界的な学術誌にも掲載され、県警は既に実用している。分析計は、全国の警察で使われているため「改良すればすぐに実用化できる」(科捜研幹部)。

 科捜研職員の学位取得は、昨年10月に続き19人目。有馬健一次席は「科捜研の総合力は間違いなく上がっている。少ない証拠から真実を突き止める仕事は、連続テレビドラマ『トレース 科捜研の男』などでも紹介され、認知度も上がっている。今後も捜査に貢献したい」と話した。

=2019/04/19付 西日本新聞夕刊=