「ネパール女性に働く場を」 福岡・小郡市のパンディ・バスさん 母国で水牛革製品作り

西日本新聞

水牛革のジャケットを着て品物の良さを説明するバスさん 拡大

水牛革のジャケットを着て品物の良さを説明するバスさん

バスさんの故郷、ネパール・ゴルカ地区=2018年秋

 文字も読めず、貧しい母国ネパールの女性たちに働く場を提供したい-。そんな思いで活動する若者がいる。ネパール出身で今春、日本経済大(福岡県太宰府市)を卒業したパンディ・バスさん(30)=同県小郡市=だ。ネパールで食用の水牛の革が捨てられていることに着目し、水牛革製品のファッションブランド「BAHADUR」(バハデュール)を設立。母国の女性たちが革を縫製し、輸出する仕組みを作り上げた。

 「バハデュール」とはネパール語で「勇気のある人」という意味だ。主力商品は水牛革のジャケットで、首都カトマンズの工場で女性たちが縫い上げる。商品は問屋を介さず、9月には直接、バスさんの元に届けられる予定。資金集めにはインターネットのクラウドファンディング(CF)を活用した。今月29日まで募っているが、当初の目標額30万円を大きく超え、75万円に達している。

 バスさんはネパール中央部にあるゴルカ地区の貧しい家に生まれ、はだしで通学しながら12歳から家業の建材販売店を手伝った。17歳から3年間、電気技師になるため専門学校で学んだ後、職を求めてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに渡り、ファストフード店で電気関連のメンテナンスに従事した。

 ずっと日本への憧れがあった。幼い頃、日本で暮らした経験がある父の友人から「日本人は優しい」と聞いていたからだ。ドバイでためた資金を元手にネパールの日本語学校に通い、24歳の時、来日した。

 小郡市の日本語学校に2年通い、26歳で大学へ。そこでの学びが転機をもたらした。貧困や環境悪化など社会課題解決に向けた事業展開をするソーシャルビジネスの概念を知り、「これだ!と思った」。母国に向けたソーシャルビジネス第1弾が今回の取り組みだ。

 バスさんは4月に福岡市内の企業に就職。大学の学費を支えてくれた妻バンタナ・スニタさん(30)と生後5カ月の長女も最近、ネパールから呼び寄せ、一緒に暮らし始めた。改正入管難民法が施行され、外国人労働者への関心が高まる中、バスさんは「これまで応援してくれた方々に感謝したい。ネパールと日本の懸け橋になり、ネパールの社会問題を一つ一つ全力で解決していきたい」と意気込んでいる。

 CFの詳細は「水牛」「マクアケ」で検索できる。

=2019/04/21付 西日本新聞朝刊=