なり手不足、もがく議会 投票率軒並み低迷 無投票3割超 議員報酬増額→新人候補増のケースも

西日本新聞

定数12に17人が立候補した新富町議選の開票作業。なり手不足解消へ議会も変革が求められている=21日、宮崎県新富町 拡大

定数12に17人が立候補した新富町議選の開票作業。なり手不足解消へ議会も変革が求められている=21日、宮崎県新富町

 1カ月にわたる平成最後の統一地方選が幕を閉じた。21日投開票された後半戦の投票率は前半戦に続いて軒並み低調で有権者の政治離れを鮮明にした。九州7県で行われた全285選挙・選挙区数(2知事選含む)のうち無投票は3割を超え、なり手不足が顕在化。一方、人材確保を狙った議員報酬引き上げ策が奏功し、選挙戦が活発化した自治体もある。地方議会の将来像をどう描くか、待ったなしの議論が求められる。

 改選後の報酬を大幅に増額する宮崎県新富町議選(定数12)は17人が争った。定数2減の中、現職9人、元職1人に30~60代の新人7人が挑み、結果は当選者の上位3人を新人が占め、女性候補も新人2人がともに当選するなど「新風」が吹いた。前回選挙は定数を1人超えただけで新人も2人のみ。一転して候補が増えた要因の一つが議員報酬の改定だった。

 町議会は1月、若者や女性など多様な人材を掘り起こそうと報酬を約34%(7万2千円)引き上げ、県内町村議会で最高の28万3千円とする改正条例案を可決した。「町民が自身の給料と、増加した議員報酬とを比較することで議員に対する視線が厳しくなり、関心も高まる」。初挑戦した最年少候補の新人稲田佑太朗氏(31)は指摘する。

 町内のまちづくり会社勤務時、条例の話題が周囲で広まり、知人から背中を押されて出馬を決めた。事務所は構えず、自転車で約80カ所の掲示板に自らポスターを貼って回り、子どもの教育環境充実を訴えた。敗れはしたが、「選挙は面白い。地盤がなくても戦えるし、若い人たちに続いてほしい。自分も町の発展に貢献していく」と充実した表情を見せた。

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 後半戦の九州7市長選では投票率の過去最低が相次いだ。35市議選も伸び悩んだ。前半戦も41道府県議選や17政令市議選が40%台前半でともに最低だった。

 一方、11道府県知事選の投票率は約47%で前回より微増。自民分裂となった福岡、福井など4県は前回より最大約10ポイント上回り、知事選に連動した同4県議選も前回を上回った。しかし、事実上の与野党相乗りとなった大分県知事選は、県議選とともに前回比10ポイント前後減。選挙構図の濃淡が投票行動を左右したとみられる。

 無投票の多発も特徴的だった。九州7県議選は146選挙区中、最多の68選挙区が無投票となり、無投票率は46・6%(前回比6・2ポイント増)と大幅に増加。福岡県議選で2回連続無投票当選した自民現職は「どれくらいの支持があるか実感を持てるのは票数。選挙戦に臨みたかった」と振り返る。

 市町村長選でも無投票率は前回より4・2ポイント高い35・5%。市町村議選が0・9ポイント増の12・3%だった。市議選の無投票は4市に上り、熊本県津奈木町議選は定数割れした。住民サービスなど有権者により身近な選挙で選択できない危機的状況だ。

 九州大大学院法学研究院の嶋田暁文教授(行政学)は「地方議会は根本的な政治不信がある。住民からの信頼を得て開かれた議会にし、住民の声を受けとめることが大事だ。なり手対策に唯一の解はなく、議員の魅力を高め、処遇改善や兼業規制の緩和などの組み合わせでカバーするしかない」と指摘。「地域自体が疲弊し、代表(議員)を押し出す力が弱る中、持続可能な地域へ『議員を出していこう』と地域内で議論することが重要だ」と提言した。

=2019/04/22付 西日本新聞朝刊=