災害医療に後方支援役を 長崎大病院・山下医師 熊本地震で痛感 育成へ「情報整理」研修

西日本新聞

大地震の発生を想定した総合演習で、指示を出す山下和範医師(左)=長崎市の長崎大病院 拡大

大地震の発生を想定した総合演習で、指示を出す山下和範医師(左)=長崎市の長崎大病院

 長崎大病院(長崎市)は、大規模災害時に円滑な医療を提供する後方支援要員の育成に力を入れている。契機は3年前の熊本地震。現地入りした高度救命救急センターの山下和範医師(46)が、ニーズに応じた医療態勢を構築する難しさを痛感し、専門的な研修を体系化した。山下さんは「災害現場では必要な医療を早急に提供する後方支援要員が必要。災害は起きるものとして備えたい」と語る。

 山下さんは熊本地震で、全国から集まった救護班の指揮や調整の補助、治療に当たった。「欲しい情報がなかったり、医師や看護師を派遣するための情報を分析できる人がいなかったり…。後方支援に専従できる人が大切だと思った」

 同病院の災害派遣医療チーム(DMAT)のメンバーでもある山下さんは2017年度から院内で研修を開始。初年度は16人、18年度は8人が参加した。多くは熊本地震で現地入りした看護師や検査技師、事務職員で、「十分な知識がないまま派遣され『不完全燃焼』だった人が自ら手を挙げてくれた」という。

 全9回、1回2時間の研修プログラムは、情報の整理を重視。救護所では、負傷者の受け入れ人数やDMATの配置先をホワイトボードなどに時系列で記録し、指示内容も簡潔にまとめることが不可欠だからだ。

 災害医療を巡る情報を医療機関が共有するインターネットのシステム習熟にも時間を割き、通信インフラの遮断に備えて衛星電話の使用方法も学ぶ。

 後方支援要員の育成に着目した先行事例として、同病院には視察が相次ぎ、各地の医療機関でも同様の研修が広がりつつある。

 本年度も3期生の研修を7月に始める予定で「ロジスティクスサポートチーム」として当面50人の育成を目指す。山下さんは「将来的にはより高度な内容を学ぶコースを設けたい」と考えている。

=2019/04/23付 西日本新聞朝刊=