効果的な町政運営を 吉富町長に新人花畑氏 地域バス、医療… 広域連携が不可欠

西日本新聞

吉富町を通過する中津市民病院と豊前市役所を結ぶ豊前・中津コミュニティバス 拡大

吉富町を通過する中津市民病院と豊前市役所を結ぶ豊前・中津コミュニティバス

土砂が堆積した吉富漁港の航路=18日午後3時ごろ

 吉富町長選は、無所属新人の花畑明氏(63)が初当選を果たした。「平成の大合併」で吉富町は、周辺自治体との合併を選択せず単独の道を選択した。自治体間の連携にも消極的だった上、産業振興で県などとの意思の疎通が十分だったとは言い難い。福岡、大分の県境に位置する「九州で一番小さな町」という特性を生かし、住民の声を反映した町づくりの視点が、これからの町政に不可欠といえる。

 豊前市役所と中津市民病院(大分県中津市)を結ぶ「豊前・中津コミュニティバス」が、町内を走る。だが、運行開始から9年間、バスは町内に停車することなく、通過している。

 中津市民病院は、糖尿病・内分泌内科や呼吸器内科、産婦人科など28科(2科は休診中)がある地域の拠点病院。高齢者などが吉富町から通院するには、町の巡回バスと乗り合いタクシーを利用してJR中津駅へ。駅でまた別のバスに乗り換え、市民病院に向かうことになる。豊前・中津コミュニティバスのバス停を、町内に設置するよう求める声は多い。

 バス停設置が実現しないのは、複数の市町村が連携して行政サービス充実を図る「定住自立圏」に町が参加していないからだ。この地域で定住自立圏に参加するのは、大分県側が中津市、宇佐市、豊後高田市、福岡県側が豊前市、築上町、上毛町の計6市町。豊前・中津コミュニティバスは関係する豊前、中津両市が共同運行し、距離に応じて負担金を出している。

 また、地域の小児救急医療体制を確保しようと、6市町は患者数に応じて、中津市立小児救急センターの人件費などを負担している。中津市によると、2017年度には吉富町からの患者数が162人に上ったが、町の負担はゼロという。構成自治体からは「小児救急を維持するためにも、吉富町にも患者数に応じた負担金をお願いしたい」との声が出ている。

 町の人口に占める65歳以上の割合は30・6%(18年10月1日現在)。県内の町村平均よりも2ポイント以上高く、医療機関への足の確保は急務だ。加えて、小児救急の維持は、町が進める子育てしやすい環境づくりにも直結する問題でもある。

 一方、町の中期基本計画(15~18年度)で、農業、漁業、商工業の振興などを重点目標としてきた。しかし、漁業では、漁業者や議会が求めた吉富漁港の航路しゅんせつ事業を2年近く見送り、漁業者の収入は半分以下に落ち込んだ。これでは担い手や後継者の育成、確保ができないだろう。

 県がしゅんせつ工事の必要性を説明しても「町の判断」として受け入れなかったほか、豊前市と築上町などでつくる豊前・築上地域栽培漁業推進協議会に対する町負担金を、18年度は支出しなかった。

 漁協や周辺自治体、県などと協力しながら、漁業の振興と水産物の特産品づくりなど流通、販売促進を進めるべきだ。

 他の自治体や関係機関と連携できることは連携する。花畑氏には、そんな効率的で効果的な町政運営を望みたい。

=2019/04/23付 西日本新聞朝刊=

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