「地方自治」曲がり角 存在感薄い議会、関心低く 有権者との距離 抜本改革必要

西日本新聞

中津市議選の開票作業。地方議員の在り方が問われている 拡大

中津市議選の開票作業。地方議員の在り方が問われている

 第19回統一地方選挙は21日の後半戦の投開票で幕を閉じた。前半戦(県知事、県議)を含めて浮き彫りになったのは、選挙を通じて選ばれた議員が自治体運営に関わる「地方自治」が曲がり角にさしかかっている現実だった。議員のなり手不足は小規模市町村で深刻化しており、有権者の関心は低下の一途をたどっている。小手先ではない対策が求められている。

 「地域から若い世代に出てほしかったが、二の足を踏まれてね…」。2回連続の無投票となった津久見市議選(定数14)で市議に“復帰”した西村徳丸さん(69)は語った。議長を務め2015年の市議選には出馬せずに引退。自分の後継者として40代2人に声を掛けたが「会社勤めで、議員との兼務は難しい」「今の議員報酬のレベルでは家族が暮らせない」などの理由で断られたという。

 全国市議会議長会のまとめ(17年12月現在)によると、同市の議員報酬は月額31万円で県内最低。今回、最後の候補者が駆け込みで立候補して定数割れを免れた枕崎市(鹿児島県)の議員報酬は27万5千円とさらに低い。一方、県内第2の都市別府市は46万3千円。今回、同市議選は定数25に34人が立候補する激戦。小規模市町村ほど、なり手不足が顕在化している。

 総務省の研究会は昨年3月、地方議会のなり手不足対策として(1)定数を削減し議員報酬を引き上げる「集中専門型」(2)選挙区を集落や校区単位に細分化し、兼業の負担軽減のため夜間や休日に議会を開き、報酬は副業的水準とする「多数参画型」-の2タイプを提言した。報酬増などを実施した自治体もある。

 津久見市の人口は約1万8千人とピーク時の2分の1。臼杵市との合併が実現せず、04年からの6年間で職員を25%削減する財政改革に取り組み、市議会定数も既に20年前の20から30%減らした。「地域の声」である定数をさらに減らすことや、報酬引き上げが住民の理解を得られるかは見通せない。

 熊本大法学部の鈴木桂樹教授(政治学)は「そもそも、地方議会と有権者の間に距離があり議会の存在感が薄い。議員を身近に感じないから、なり手も増えない悪循環になっている」と指摘。「報酬を増やすことですべてが解決するわけではない。地方自治の在り方を抜本的に問い直す必要がある」と語った。

=2019/04/23付 西日本新聞朝刊=

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