自民補選2敗 「1強」不信と受け止めよ

西日本新聞

 「1強政治」にあぐらをかく今の政権に対する批判と率直に受け止めるべきだ。

 衆院大阪12区、沖縄3区の両補欠選挙で自民党の公認候補がともに敗れた。2012年の政権奪還後、第2次安倍晋三政権下で自民党が補選で敗北したのは、公認候補を擁立できずに不戦敗となった16年の京都3区補選を除けば、初めてのことだ。

 自民党は現在、衆参両院の国政選挙で5連勝中である。補選も候補を擁立した選挙は勝ち続けて「選挙に強い」「負けない」という実績を積み重ねたことが、安倍首相の長期政権を支える原動力とされてきた。

 その補選で「まさかの2敗」である。与野党とも夏の参院選の前哨戦と位置付けていただけに、特に自民党は敗北から学ぶべき教訓があるのではないか。

 沖縄3区はその象徴と言っていい。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として政府が沿岸部の埋め立て工事を強行している名護市辺野古を含む選挙区である。

 衆院議員だった玉城(たまき)デニー氏の知事選出馬に伴う補選だった。沖縄県民は各種の選挙で「辺野古移設ノー」の意思を表示してきた。直近の民意を振り返ってみても、昨年9月の知事選で「移設反対」を訴えた玉城氏が圧勝し、今年2月の埋め立ての賛否を問う県民投票でも7割超が移設に「反対」した。

 そして今回の補選である。野党が支援する無所属新人の屋良朝博氏が自民党新人の島尻安伊子氏との一騎打ちを制した。

 昨年の知事選で移設問題に言及しない姿勢が「争点隠し」と批判されたため、島尻氏は「移設容認」を訴えたが、及ばなかった。自民党の選挙戦術がどう変わろうと「辺野古移設反対」という沖縄の民意は一貫して揺らぎがない-ということだ。

 それでも政府は「辺野古が唯一の選択肢」というかたくなな姿勢を改めないのか。沖縄の民意を一体何度、そしていつまで無視するつもりなのか。

 沖縄3区が野党の議席だったのに対し、大阪12区は自民の議席だった。結果は日本維新の会の新人藤田文武氏が自民党新人の北川晋平氏らを破って初当選した。自民党にとっては、今月7日の大阪府・大阪市ダブル首長選に続く敗北である。

 理解に苦しむのは、自民党内に沖縄は「辺野古」、大阪は「維新旋風」と、それぞれの地域事情を理由に過小評価するような声があることだ。地域に固有の事情があることは否定しないが、選挙結果を謙虚に受け止めないと、いずれはもっと痛烈な審判を受けることになる。それは過去の経験で自民党が最も熟知している教訓ではないのか。

=2019/04/23付 西日本新聞朝刊=