阿蘇中岳、小規模噴火相次ぐ 防災会議協が臨時会

西日本新聞

3月に噴火警戒レベルが1から2に引き上げられた際の阿蘇山 拡大

3月に噴火警戒レベルが1から2に引き上げられた際の阿蘇山

 阿蘇中岳第1火口で小規模噴火が相次いでいることを受け、関係機関でつくる阿蘇火山防災会議協議会は23日、阿蘇市で臨時会を開催。活動がさらに活発化し、噴火警戒レベルが現在の2(火口から半径1キロの立ち入り規制)から3(入山規制)に引き上げられた場合の対応や手順について協議した。

 噴火活動は現在、火山ガス噴出量は多いものの小康状態が続く。臨時会は、10連休も控えることから、関係機関が情報を共有するために開かれた。

 気象台の判定基準に基づき、噴石被害などが懸念されるレベル3(中規模噴火)になった場合、火口から半径2~4キロの立ち入りを規制する方針。火口から2・8キロには阿蘇火山博物館などがある草千里、同4キロにはミヤマキリシマの観光名所・仙酔峡が広がる。

 会議は非公開。火口に続く県道には脇道も多く、その対応を含め、さらに細かく実施計画を策定する方針などを確認したという。

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火道の拡大続いている 活発化兆候は見られず 京大火山研究所・大倉教授

 阿蘇中岳の噴火活動の現状と今後について、京都大火山研究所の大倉敬宏教授は「これまでのところ規模の大きな噴火の兆候は見られない」と話した。

 -ごく小規模とはいえ、噴火が2度相次いだが、この動きをどうみるか。

 大倉 昨年12月中旬から兆候が見られた。直下にマグマがあるとみられる草千里一帯の2定点間(7・5キロ)の距離の縮みが止まり、伸びが観測された。小さな変化だが、マグマだまりの膨張を意味する。その後、火口の湯だまりが減少し火口温度も上昇。今年3月の噴火警戒レベル2への引き上げにつながった。

 -火口下ではどんな現象が起きているのか。

 大倉 火道(マグマの通り道)の拡大が起こっていると見られる。ただ、マグマが直接関与したものではなく、火山ガス放出量が増大し、火道内の灰を噴き上げているのが今の噴火現象だ。

 -今後の動向は。

 大倉 赤外線カメラで20日、火口温度を観測したところ約400度だった。比較的大きな噴火があった2015、16年の噴火前は約700度だったので、火口温度はまだ低い。マグマの上昇を示す長周期の微動も観測されていないので、これまでのところ大きな変化は考えられない。

 -地元住人からみると「噴火」という表現は「過剰」にも感じる。

 大倉 ガスや水蒸気ばかりではなく、灰交じりの黒煙を噴き上げると「噴火」と定義される。御嶽山(おんたけさん)の噴火災害(14年、戦後最悪の死者・行方不明計63人)以降、より厳密に発表される傾向にある。御嶽山災害は、噴火警戒レベル1で発生した。その教訓もあり、阿蘇山はレベル2に上げているので、規制の範囲で阿蘇観光を楽しむことに問題はない。

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最近の阿蘇中岳噴火動向

2015年
 9月 規模の大きい噴火。マグマ水蒸気噴火の可能性が高く、噴煙は上空2000メートルに。

16年
 10月 マグマ水蒸気噴火。噴煙は上空1万1000メートルに。

19年
 2月5日 火山ガス量や火山性微動の振幅が増大していると、福岡管区気象台が臨時情報(解説情報)を発表。

 3月12日 気象台が噴火警戒レベルを2に引き上げ、火口から半径1キロの立ち入りを規制。

  同29日 沈静化したとして、噴火警戒レベル1に。

 4月14日 噴火警戒レベル2に引き上げ。

  同16日 2年半ぶり、ごく小規模な水蒸気噴火。噴煙の高さは200メートル。

  同19日 ごく小規模な水蒸気噴火。

=2019/04/24付 西日本新聞朝刊=

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