博多どんたく 「舞姫」希望者多く、異例の1年交代に 博多松囃子・稚児舞

西日本新聞 ふくおか都市圏版

博多小の体育館で行われた合同練習で、優雅な舞を披露する舞姫の田中鈴音さん 拡大

博多小の体育館で行われた合同練習で、優雅な舞を披露する舞姫の田中鈴音さん

指導役の名越正志さん(左)の講評に熱心に耳を傾ける舞姫たち

 「博多どんたく港まつり」(5月3、4日)を目前に控え、祭りの源流「博多松囃子(まつばやし)」で一番の華やかさを誇る「稚児舞」の稽古が大詰めを迎えている。主役は、古式ゆかしく優雅に踊る4人の「舞姫」たち。同じ女の子が2年続けて務める習わしだったが、今年は希望者多数のため、異例の1年交代になった。その分、「悔いのない舞を」と例年以上に稽古への熱がこもる。

 「左! 右! そこゆっくり、急がない」

 4月22日夜、博多小(福岡市博多区)体育館で行われた稚児舞の合同練習。1月から重ねてきた総仕上げの舞に、指導役の名越正志さん(72)から厳しい声が飛ぶ。能の流れをくむ典雅な所作。緑と赤の装束に身を包んだ舞姫たちの動きがピタリと決まると、見守る地域住民からため息が漏れた。「今くらい(動きが)合っとれば良かね。自信持って踊らないかんよ」。舞台から駆け寄ってきた女児らに、名越さんが優しく語りかけた。

 稚児舞の運営は東流(ながれ)と西流が2年交代で受け持ち、今年は東流が担当する初年度となる。舞姫は、流の域内に住む博多小の女子児童から選ばれ、通常4人。祭りや地域活動への貢献度の高い人物の子女が優先されるが、今年は希望者が8人もいた上、いずれも地域のお歴々の娘や孫ばかり。誰かを落とすわけにもいかぬ。結局、名越さんが「指導役の自分が頑張れば済む」と8人を2組に分け、1年交代で全員に演じさせる「苦肉の策」を決断したという。

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 かくして1年目の舞姫は、田中鈴音(りおん)さん(11)▽西川晴(はる)さん(10)▽池田菫(すみれ)さん(10)▽田原祈(いのり)さん(11)-の4人となった。

 唯一の6年生の鈴音さんは、2年目に中学生になるので「ダメ元」の応募だった。昨夏に希望を伝えたが、秋の声を聞いても返事はなし。諦めて背中まで伸ばしていた髪をバッサリ切った直後、まさかの「採用通知」が届いた。「うれしかった。ワクワクしてる」と鈴音さん。1年限りの出番にも「全然気にならない。普通に2年務める年だったら真っ先に落とされたかも」と笑う。

 演技の悩みは足の運び。「方向を変えるところでいつも間違えそうになる」。考えすぎて普段の生活ですり足になることも。そんな姿に、名越さんは「今年の舞姫たちは稽古熱心で覚えも早い」と目を細める。

 平成の終わりとともに稽古を締めくくり、令和の幕開けに本番を舞う-。大役を担う鈴音さんは、凛(りん)とした顔になった。「2年分の力を出し切り、みんなの記憶に残る稚児舞を見せたい」

=2019/04/24付 西日本新聞朝刊=