暴追10年中洲に変化 博多署の「作戦」 組員、客引き鳴り潜める 風俗案内所増新たな課題

西日本新聞

中洲をパレードして「マル暴ゼロ作戦」をアピールする博多署幹部ら=19日午後、福岡市博多区 拡大

中洲をパレードして「マル暴ゼロ作戦」をアピールする博多署幹部ら=19日午後、福岡市博多区

 福岡市博多区の中洲で暴力団壊滅を目指す福岡県警博多署の「マル暴ゼロ作戦」が、10年を迎えた。暴力団の車が通りを埋める光景はなくなり、地元関係者は「暴力団も客引きもめっきり減った」と歓迎。風俗店などから広告料を取って客を紹介する「無料風俗案内所」が増え、暴力団の新たな資金源になっているケースもあり、署は「暴力団がなくなるまで活動する」と気を引き締めている。

 「暴力団は中洲から出て行け!」。19日夜、酔客でにぎわう中洲に、署員や中洲町連合会の関係者ら約300人の声が響いた。一行は中洲一帯を練り歩き、暴力団排除を訴えた。

 県内では2008年まで5年連続で発砲事件の件数が全国最悪を記録。県警は09年に「暴力団犯罪の撲滅」を最重点目標に掲げた。当時、博多区には五つの指定暴力団が約30カ所の事務所を構えており、縄張り争いが盛んだった中洲の浄化を目指した。

 作戦では、暴力団の取り締まりに加えて「安全安心ローラー」と銘打ち、飲食店や風俗店の指導や聞き込みも強化。18年は11回実施し、署員100人が400店舗を一斉に回ることもあった。暴力団の活動状況をデータベース化し、取り締まりにも活用してきた。

 その結果、暴力団立ち入り禁止の標章を掲げる飲食店は、1035店から1387店に増え、掲示率は85%になった。暴力団の事務所数は着実に減り、暴力団との関係が疑われる客引きもピーク時は200人いたが、現在は「ほぼ撤退した」(幹部)という。

 「10年前は当たり前だった肩で風を切る組員を見掛けなくなった」と飲食店経営者。東京から福岡市に今月引っ越した50代男性も「いかつい車も少なく、クリーンな印象」と語る。

 一方、無料風俗案内所は、県の規制条例が施行された13年の35店から、今年2月末には61店に急増。観光客から「景観を損ねる」との声も上がる。17年には、案内所などを経営する会社が指定暴力団福博会幹部にみかじめ料名目で現金計90万円を渡したとして、県暴力団排除条例に基づく勧告を受けた。県警幹部は「氷山の一角。適法に見えて、裏で暴力団とつながっているところもある」とみる。

 戸谷弘一署長は「安全な街になったと言われるが、暴力団の動きは巧妙化して見えにくくなっており、警戒は緩めない」と話している。

=2019/04/24付 西日本新聞夕刊=