「経済面の影響大きい」「例外なら規制形骸化」 テロ未対策の原発停止、賛否交錯

西日本新聞

 原子力規制委員会が原発のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の設置期限延長を認めない方針を決めたことは、九州電力の原発を抱える自治体や住民にも波紋を広げた。再稼働した原発も停止を迫られるため、地元経済への影響を懸念する声が上がる一方、規制委の判断を妥当とする意見もあり、賛否は交錯した。

 「九電はわざと遅らせたわけではないので延長してもらえると思っていた。作業員が大勢入る定期検査のサイクルで市の経済は回っており、停止となれば影響は大きい」。川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市の上村健一・川内商工会議所専務理事(65)は気をもむ。川内1、2号機はそれぞれ2020年3月と5月に特重施設の設置期限を迎える。市ホテル旅館組合の福山大作組合長(68)は原発が停止した11年以降の4年間を振り返り「閑古鳥が鳴き、これより下はないという状況を耐えてきた。万が一にも止まるとは思っていない」と反発した。

 川内原発30キロ圏内の住民らでつくる反原発団体の高木章次代表(67)=同県いちき串木野市=は規制委の判断を当然とみる。「九電側には住民の心配の声を聞いて対応してほしい。今後は工事期間の短縮に向けて強引なスケジュールを組まないか注視する必要がある」と語った。脱原発を訴え、今月の県議選で初当選した平良行雄さん(59)=鹿児島市=は「個別の事情で例外を認めたら規制委は形骸化する。川内原発は数年後に40年の寿命も迎えるため、廃炉に向けた議論が必要だ」と述べた。

 玄海原発3、4号機も停止は避けられない見通し。佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は「規制委が決めたことは仕方がないが、停止すれば財政面などに影響が出ると思う。九電には(原発が)できるだけ停止しないよう頑張ってもらいたい」と注文を付けた。

 一方で、反原発を掲げる「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表(67)は「そもそも再稼働前に(特重施設の)見通しがなかったのがおかしい。国や自治体の原発に対するチェック体制を疑う」と指摘。同町有浦下の農家青木一さん(81)は「原発は不安材料が多い。住民の安全を考えると停止するべきだろう」と話した。

 佐賀県の山口祥義知事は「定まった期限を原則通り守るという方針は評価したい」と規制委の判断を尊重。九電に向けては「方針に沿ってしっかり対応してほしい」と述べた。

=2019/04/25付 西日本新聞朝刊=