77歳の父親が車を運転しなくなったのは、つい1年ほど前

西日本新聞

 77歳の父親が車を運転しなくなったのは、つい1年ほど前。加齢で体力が弱り、入院を繰り返す中で自らやめた。心底、ほっとした。70歳を過ぎた頃から運転中の注意力が落ちているように感じていたからだ。実家に電話するたび母親に「お父さんの運転は大丈夫?」と聞いていた。

 ひとたび事故を起こし、人命を奪えば培ってきたキャリアも社会的な信頼も一瞬で失う。過失とはいえ、大きな罪を背負い余生を過ごさなければならない。家族も同じだ。

 東京・池袋で起きた暴走事故。亡くなった母子、残された夫があまりにかわいそうで胸が痛む。と同時に、猛烈な非難を浴びる87歳の加害者や家族は今、どんな気持ちなのかとも考える。夫は会見し、こう訴えた。「少しでも不安がある人は運転しないという選択肢を考え、周囲も働き掛け、家族内で考えてほしい」。加害も、被害も決して人ごとではない。悲痛な叫びに社会が向き合う時だ。 (安部鉄也)

=2019/04/26付 西日本新聞朝刊=