「借金漬け」払拭に中国躍起 「一帯一路」国際会議、北京で開幕 事業見直し柔軟姿勢も

西日本新聞

 【北京・川原田健雄、バンコク川合秀紀】中国政府が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際会議が25日、北京で始まった。27日まで3日間の日程で、150余りの国と90の国際機関から5千人近くが参加。欧米や日本は「中国が投資対象国を借金漬けにしている」と懸念を強めるが、習近平指導部は各国首脳との連携を演出し、事業の正当性をアピールする構えだ。

 「債務やリスク管理を強化し、持続可能な発展を目指す」。中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は初日の会議で強調した。念頭にあるのは「借金漬け」への批判だ。一帯一路を巡っては、中国がインフラ整備で途上国に多額の資金を貸し付け、その国が返済に苦しむ「債務のわな」に陥る懸念が指摘される。欧米では、中国が完成した港湾施設などを軍事転用する可能性も取り沙汰される。

 中国は「債務のわなに陥った国はない」と反論する一方、軌道修正に乗り出している。マレーシアのマハティール首相は昨年、「新たな植民地主義は望まない」として中国企業受注の東海岸鉄道計画を中止したが、中国側と再交渉。今月、建設費を当初の3分の2に減らすことで合意した。中国側は柔軟な事業見直しに応じて、一帯一路の行き詰まりを避けたい構えだ。

 中国と密接な外交関係があるラオスやカンボジア、ミャンマーでも財政難を理由に事業縮小の動きが一部であるが「中国側の攻勢は基本的に変わっていない」(在タイ外交筋)という。

 カンボジアでは今月下旬、米国大使館関係者が中国とカンボジアの経済関係について「カンボジアの雇用や産業に貢献していない」とフェイスブックに投稿。すぐに駐カンボジアの中国大使館が反論し、現地メディアで話題となった。「中国依存が強まる現状に対する米国の焦りの表れ」(同外交筋)との見方がある。

 タイは23日、東部地区開発の主要事業である空港連結鉄道の入札で、中国企業の参加したグループが落札したと発表。プラユット暫定首相は今回の会議に出席し、中国やラオスと結ぶ鉄道建設計画についても中国側と何らかの合意文書を取り交わしたい考えだ。

 フィリピンも会議に代表団を派遣し、複数のプロジェクトで中国と合意を結ぶ見通し。財政面での懸念をよそに、一帯一路事業は東南アジアで着実に拡大しているのが実態だ。

 習指導部が一帯一路構想を提唱した2013年以降、126カ国が中国と協力文書を締結した。3月にはイタリアが先進7カ国(G7)で初めて一帯一路への参画を表明し、欧米の結束も切り崩されつつある。

 今回の会議には、17年の第1回会議の29カ国を上回る37カ国の首脳が参加。習国家主席は26日に演説し、事業の持続性や財政健全性に配慮した「質の高い発展」を目指す姿勢を強調し、欧米をけん制するとみられる。

【ワードBOX】一帯一路

 中国主導の経済圏構築を目指して習近平国家主席が2013年に提唱。中国が鉄道や港湾などのインフラ整備や貿易活性化を通じて、東南アジアやアフリカ、欧州など各国との外交関係を強化する取り組み。国際的な影響力拡大のほか、中国国内の過剰生産解消のための輸出先探しや、資源の安定確保の狙いもある。日本は対象国の財政健全性や事業の透明性などの条件を満たせば協力する立場を取っている。

=2019/04/26付 西日本新聞朝刊=