佐賀知事の強硬反対「想定外」 長崎新幹線の着工視界不良

西日本新聞

与党検討委員会の終了後、記者団の取材に応じる佐賀県の山口祥義知事=26日午前、東京都内 拡大

与党検討委員会の終了後、記者団の取材に応じる佐賀県の山口祥義知事=26日午前、東京都内

 「佐賀県の負担ゼロでも建設は認めない」-。山口祥義知事の姿勢は強硬だった。九州新幹線西九州(長崎)ルートの与党検討委員会は26日、想定外の事態に立ち往生。知事発言はその真意を巡りさまざまな臆測も飛び交うが、新鳥栖-武雄温泉の着工が視界不良に陥ったのは間違いない。

 この日の検討委で山口氏は、県の主張やこれまでの経緯を記した資料を配って訴えた。「佐賀県がぎりぎり合意したのは在来線利用」「短時間での解決は無理」…。淡々とした口調ながら厳しい言葉が続き「知事の態度は予想以上で、とりつく島がなかった」(委員の一人)という。

 山口氏のかたくなな姿勢は、フル規格での早期整備を求めている長崎県にも衝撃を与えた。中村法道知事は26日、記者団に「山口氏の真意を測りかねる」と戸惑った様子で話した。

 佐賀県が態度を硬化させたのは、国土交通省幹部が19日、フル規格の場合に県の実質負担が660億円とする試算を副島良彦副知事に伝えてからだ。

 これは1100億円を見込んだ県試算の6割だ。だが国はJR九州の線路使用料(貸付料)30年分を2580億円と仮定した上で、他のルートよりも有利な配分にする前提で算出していた。副島氏は「国の試算は仮定が二つも付いた数字」と反発し、山口氏は24日の記者会見で「条件闘争は本意ではない」と不快感を隠さなかった。

 「在来線を核にしている沿線自治体の街づくりはどうなるのか」「在来線の特急の本数が激減するのではないか」…。地域に懸念がある中で「財政負担だけの問題ではないのに、都合のいい試算で結論を急ぐ与党の姿勢が許せなかった」と佐賀県関係者は山口氏の心情を代弁する。

 検討委は山口氏との議論を終えた後、委員だけで今後の対応を協議。佐賀県の翻意に向け、水面下での説得を続けることを確認した。貸付料の仕組みの変更など、佐賀県の負担軽減策の実現に向けても調整を進める構え。

 ある委員は、山口氏が昨年8月、陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港配備の受け入れを突然表明したことに触れ「知事も政治家。翻意の可能性はあるはずだ」と期待するが、具体的な説得材料は見つからない。

=2019/04/27付 西日本新聞朝刊=