「医療通訳」増すニーズ 高い専門性、対応15%どまり

西日本新聞

医療通訳や電話通訳を紹介するパンフレット 拡大

医療通訳や電話通訳を紹介するパンフレット

 外国人の患者と医療関係者をつなぐ「医療通訳」。外国人労働者受け入れを拡大する改正入管難民法が今月施行され、在留外国人や訪日客が医療機関を受診するケースも増える中、必要性は高まっている。厚生労働省が全国約4千の病院を対象に昨年実施した調査では、通訳の配置や電話通訳など何らかの多言語対応をしている病院はわずか15・1%にとどまっており、対応は進んでいない。外国人をサポートする通訳制度の現状を取材した。

 「外国人が安心して医療を受けることはもちろん、医療費未払いなどトラブル防止や生活背景も詳しく聞ければ、より精度の高い診断にもつながる」。医療通訳派遣事業に取り組む北九州国際交流協会の担当者は、医療通訳の必要性をこう訴える。協会は北九州市の補助を受け、市内の病院に通訳を派遣している。

 医療通訳は保険診療の対象外。患者か医療機関か、費用をどこが負担するかは各機関や自治体の判断に委ねられている。同協会の場合、1回の派遣で原則3千円をボランティアに支払っており、利用費は無料。2012年に取り組みを始めて以来、多い年で年間約50件の依頼があった。

 深刻な病状を伝えるような場面では通訳者の負担も重くなる。高い専門性が求められるが、通訳の大半が自治体の外郭団体や地元の民間団体から派遣される有償ボランティアのため、能力や知識にはばらつきがある。同協会のコーディネーター、清川弥生さんは「語学力だけでなく、医療通訳者としての倫理を理解し、プレッシャーのかかる現場でも適切に対応することが求められる」と話す。

 取り組みの創設にも関わった済生会八幡総合病院総務課の霜田治喜さんは「医療通訳について、医療関係者の理解はまだまだ進んでいない。システムを整え、利用することが病院側にもメリットがあることを広めたい」と話した。

      ■

 現場への派遣型通訳に加え、別の形で外国人患者をサポートしているのが電話通訳だ。福岡県と福岡市が運営する「福岡アジア医療サポートセンター」は17年から外国人向け電話通訳サービスを提供。24時間年中無休で英中韓のほかベトナム語やポルトガル語など17言語に対応する。診療現場のやりとりだけでなく医療費の支払いや受診方法についても情報を得られる。

 17年度が356件、18年度で778件の利用があり、利用者は急増中。サービスの運営会社「ビーボーン」業務・営業本部の太田龍治さんは「現場派遣の通訳と電話通訳は使い分けが必要だが、電話での通訳を気軽に利用してもらい、現場でのコミュニケーションを円滑にしたい」と話している。

=2019/04/27付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ