【DCの街角から】「本命」はどこにいる?

西日本新聞

中央のステージに立つオルーク氏の演説に聞き入る民主党支持者たち。大統領としての資質の有無を見極めようと、質問も多く飛び交った=17日、南部バージニア州 拡大

中央のステージに立つオルーク氏の演説に聞き入る民主党支持者たち。大統領としての資質の有無を見極めようと、質問も多く飛び交った=17日、南部バージニア州

 来年11月の米大統領選まで1年半。再選をにらむトランプ大統領に対し、政権奪還が悲願の野党民主党は世論調査で1番人気のバイデン前副大統領が出馬表明し、候補者が20人に達した。各候補は地方遊説に出向いたり、テレビ討論会に出演したりして支持拡大に奔走している。

 今月、主要候補が相次ぎ登壇するイベントが開かれたワシントンの劇場も、若手ホープのオルーク元下院議員の集会があったバージニア州のホテルの宴会場も満員だった。とはいえ「プロレスやコンサートの会場のよう」と例えられるトランプ氏の熱狂的な支持者集会と比べればはるかにおとなしく、歓声は上がっても「ウォー」という腹の底からの叫びではない。熱気はあるにはあるが、いまいちなのだ。

 オルーク氏の集会では、会場中央のステージをさまざまな年齢や人種の支持者が取り囲んだ。その一人、白人女性のメリアンさんはステージに通じる花道の最前列でオルーク氏の演説をじっと聞き入り、終了後には「トランプにはない知性と誠実さが良い。米国を明るい方向に進めてくれる」とほほ笑んだ。

 ただ、民主党候補を決める来年の予備選挙での投票先を聞くと「まだ分からない」とも。世論調査でオルーク氏と同様、上位5位前後の支持率があるハリス、ウォーレンの両女性上院議員の話も聞きたいという。

    ☆    ☆

 「来年トランプが勝てば、私は外国に移住するつもり」。メリアンさんはそう語った。彼女の表情ににじむ不安を今、多くの民主党支持者が共有している。

 中には「候補が誰であれ勝てる」と楽観視する人もいる。政権は混迷が続き、ロシア疑惑では司法妨害の疑いも残るトランプ氏を支持する人の気が知れないと思う人は、きっと日本にも少なくないだろう。だが、経済の浮揚や移民規制などの公約をなりふり構わず実行に移すトランプ氏を評価する4割前後の岩盤支持層の結束は固い。

 対する民主党候補は70代から30代まで年齢層が幅広く、女性が6人、さらに性的少数者(LGBT)もいる。白人、黒人、ヒスパニック、アジア系と人種もさまざま。政策も中道から急進左派まで実に多様だ。だがそれは、まとまりを欠く党の現状の裏返しでもある。中にはオバマ前大統領やトランプ氏のような強烈な個性や主張に乏しく、政権交代後の閣僚ポスト狙いのような人物もいる。

 来年2月に各州で始まる予備選挙に向け、6月には民主党内の討論会が始まり、選挙戦は本格化する。誰ならトランプ氏に勝てるのか。そもそも現状の20人の中にいるのか-。メリアンさんたち民主党支持者は悲壮感すら漂わせ、選挙戦を見守っている。 (田中伸幸)

=2019/04/27付 西日本新聞夕刊=

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