DNA鑑定にもハードル高く 遺留品や埋葬記録が条件に 硫黄島、遺骨収集に高性能レーダー

西日本新聞

 遺骨収集を「国の責務」とした戦没者遺骨収集推進法が成立して3年。高性能レーダーの導入で、硫黄島の遺骨収集の進展が期待される。ただ、遺族の元に帰るにはDNA鑑定による身元確認が必要で、別のハードルも待ち受ける。

 厚生労働省によると、戦没者遺骨のDNA鑑定は2003年度に開始。保存状態が良く、個人が特定できる遺留品や埋葬記録が一緒に見つかることなどが実施条件だ。身元特定をより正確にするためだが、激戦地でそうした手掛かりを発見する例は少ない。硫黄島の遺骨でこれまでDNA鑑定をしたのは数例しかなく、身元判明は2例のみだ。

 戦没者遺族からは鑑定の条件が厳しすぎるとの声が上がり、厚労省は16年から沖縄の10地域に限り、遺留品がなくても所属部隊の記録から個人が推定できる場合などに、DNA鑑定を試験的に始めた。ただ、厚労省は「沖縄の条件緩和はあくまでも限定的な試行」との立場を崩していない。政府は有識者らの検討会を経て、他地域の鑑定基準を緩和するかどうか、夏ごろをめどに方針を決める。

 平成から令和に時代が変わる中、昭和の戦争の犠牲者がまだ多く戦場に眠り、帰りを待つ遺族の高齢化も進む。遺族でつくる硫黄島協会の寺本鉄朗会長(74)=長崎市出身=は「父の骨つぼにはどこのものかも分からない砂しか入っていない。遺族は今も遺骨を家に迎えたいと望んでいる」と語り、DNA鑑定の条件緩和を求めた。

【ワードBOX】硫黄島の戦い

 1945年2月、島を日本本土爆撃の拠点にしようと米軍が上陸。旧日本軍は地下壕(ごう)に陣地を建設し、1カ月あまりにわたって激しい持久戦を展開した。日本軍は約2万3千人のうち9割以上が戦死。米軍は約7千人が死亡した。

=2019/04/28付 西日本新聞朝刊=

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