時代錯誤?「おかしな校則」が続々 口笛ダメ、男女交際は保護者にも注意… 過去のトラブルの裏返し

西日本新聞

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中学、高校のおかしな校則の例

 厳しすぎるルールや時代錯誤とも思える内容…。校則を巡って取材班には生徒や教師、保護者らから多くの意見が寄せられている。

過去のトラブルの裏返し

 「最高で1日4回髪を切りに行った。あまりに理不尽だ」。福岡県内の40代女性は、20代の息子が通っていた県立高校で体験した頭髪検査の憤りを無料通信アプリLINE(ライン)で寄せた。

 息子は高校2年の時、風紀検査で髪の長さを指摘され、再検査でも「横髪が長い」と認められなかった。学校から女性に連絡があり、一緒に近くの美容室に行って髪を切り学校に戻ると今度は「前髪が長い」。さらに切ると「後ろ髪が長い」。女性はさすがにおかしいと思い「どこをどのくらい切ればいいのか」と尋ねたものの、教師は「全体的に切ってくれ」と言うだけだった。

 結局ほぼ丸刈りにして、ようやく認められた。息子は大学に進学したが中退。「大人を信用できなくなった」と話し、ずっと家にいるという。「先生によって基準があいまい。好き嫌いで指導をしているように見えた。生徒を傷つけるだけではないか」。女性の怒りは収まらない。

 長崎市の小学生の母親は「子どもが1年の時、体操服に着替える際は下着を脱ぐように指導された」といい、高学年の女子ならば不快感を抱きかねない方針に疑問を抱く。同市教育委員会は「汗をかくと下着もぬれる。衛生面の配慮や風邪の予防で児童のことを考えて指導している」と説明する。

 母親は「冬の寒い日も許されずどうかと思う」と納得できない様子。こうした事例からは反発しか生まれず、ルールの浸透に向けて学校現場では丁寧な説明とコミュニケーションの必要性が感じられた。

自由か、わがままか

 一方、取材班が福岡県の全県立高校の校則を調べたところ、「ここまで明記しなくても」「これはおかしいのでは」と思わせるケースが散見された。

 ある高校は、男女交際について在校生だけではなく保護者にも注意を促す。新入生のしおりには「あくまでも高校生らしい明朗、清潔な付き合いが望まれます。保護者が物わかりのよい寛容な態度を示すと、交際は深く進行して取り返しのつかない結果になります」と記される。

 同校を知る男性教諭は「このような規定があることに驚いた。実際にはそれほど男女交際に厳しい指導をしているわけではない」とし、交際が分かっても保護者に連絡することはなかったという。「随分前の学校が荒れていた時期にできた規定ではないか」と話し「時代に即したものになっているか疑問だ」と語った。

 通学かばんの重さを軽減するため、小中学校では教科書などの勉強道具を学校に置いておく「置き勉」を認める動きが広がる。高校へのアンケートでも多くは置き勉を認めるが「通学かばんを必ず持参してください(手ぶら登校禁止)」「教科書、ノートなどを(ロッカーに)収納したまま下校してはならない」となお禁止する学校が複数あった。

 特異な内容が目立つのは、さまざまな年代の生徒が通う定時制高校だ。「故意に他者をにらんだりしてはならない」「校内で口笛を吹くことなどは禁止する」「生徒間で暴行、その他私的制裁は厳禁」「浴衣、法被、どてら、着ぐるみ等での登校は禁止」

 こうしたルールは過去にトラブルがあったことの裏返し。細かい規定は、幅広い在校生を相手にする学校側の苦肉の策とも受け止められる。

学校不信の原因にも

 現行の校則について「ルールは守るのが当然」「一定の秩序は必要だ」と評価する声も取材班には寄せられている。

 「無責任に生徒や保護者に迎合した記事を書いている。指導に応じない生徒が増えれば、現場は大変なことになる」。佐賀県唐津市の教師は手紙にそう記した。学校の秩序が何かのきっかけで崩れれば、回復には何年もの時間と膨大な労力がかかる。

 「生まれつきの赤毛や癖毛の生徒に(染髪禁止などの)校則を強制はできない。そうしないため事前に申請するのは道理にかなっているのではないか」と訴えた。この教師と同じ思いを校則で呼び掛ける福岡県内の高校もあった。「自由とわがままのはき違いが多いようです。『自由の背後には必ず規則がある』ことを認識してください」

=2019/04/28付 西日本新聞朝刊=

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