復興、幸せ願い平成に幕 記念の切符購入に列/仮設生活変わらない

西日本新聞

JR豊肥線の平成駅には終日、多くの人々が訪れ、行列ができた 拡大

JR豊肥線の平成駅には終日、多くの人々が訪れ、行列ができた

切符を手に記念写真を撮る女性たち 令和と平成のシャツを着て記念写真を撮る若者たち 益城町の木山仮設団地で子どもの宿題を見るボランティアの大学生 雨の中多くの人が熊本城を訪れた 奉祝式典で皇后陛下ゆかりの子守唄を歌う平成音楽大の女声合唱団

 平成最後の日の30日、県内では元号にちなんだ名前の駅で友人と記念撮影したり、家族と思い出の場所を再訪したりと、それぞれの形で平成との別れの時間を過ごす人たちの姿が見られた。「さようなら平成」。1日から始まる令和の時代に、願いや希望を託す声も聞かれた。

■JR駅

 大阪府守口市の会社員前田恵利香さん(26)は、JR豊肥線の平成駅(熊本市)で駅の看板を背に切符を持って友人2人と記念写真を撮っていた。インターネットで平成駅を調べて訪れたといい、「3人とも令和に結婚して幸せになりたい」と笑顔を見せた。

 熊本市東区の会社員森田茉里さん(24)は友人と、大正製薬の栄養ドリンクと明治の飲むヨーグルト「R-1」を持参。入り口にある平成駅と「昭和」の文字の入った看板を背景にして、四つの元号を1枚の写真に収めた。

 神戸市東灘区の公務員高須紀行さん(23)は友人5人と記念撮影。「阪神大震災のあった平成7年生まれ」。昨年度、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市に復興支援で派遣され5人と出会った。連休を利用して、熊本地震の被災地にやってきた。「平成の経験を無駄にせず、地震や災害の被害を最小限にできる努力をしたい」と力を込めた。

 平成駅は終日、記念写真を撮ったり、切符を購入したりする人でごった返した。JR九州によると、駅が営業開始する午前7時35分の時点で50人ほどの行列ができていたという。同社広報は「予想を超えるお客さんに来ていただきありがたい」と目を細めた。

■被災地

 熊本市東区の仮設住宅のベンチに腰掛け、母(68)の帰りを待っていた会社員の坂田万里栄さん(34)は「新しい元号になっても仮設の生活が変わるわけではなく、実感はない」と冷静に受け止める。

 平成は出産、離婚、熊本地震と人生の転機が重なった時代だった。熊本地震後に3カ月間身を寄せた避難所で、人見知りだった長女(12)は高齢者に食事を届けるなど大きく成長した。県外からのボランティアが次女(8)と遊んでくれた。「被災してたくさんの人に助けられた。人と人とのつながりが深く、子どもたちが幸せに生きられる時代になってほしい」

■商店街

 同市西区の石井義久さん(78)は、この日も欠かさず日課の散歩に出掛けた。「昭和から平成に変わるときは暗かったが、平成から令和はお祭りムード。明るい時代になってほしい」と願った。京都市から家族旅行で訪れた中村康夫さん(73)は、平成を「戦争はなく平和だったが、災害に苦しむ時代だった」と振り返った。新しい時代に「災害から得た教訓を生かして安全な時代になれば」と期待を込めた。

■熊本城内

 2017年に熊本城内にある加藤神社(熊本市)で結婚式を挙げた市内の新福瑠大さん(31)と妻美奈子さん(31)は、安産祈願で神社を再訪した。「子どもが生まれてくる令和は、活気のある過ごしやすい時代になれば」と話した。

 城を見詰めていた兵庫県の竹内秀則さん(49)は、「少しずつ復興が進んでいるのを肌で感じた」と、感慨深げ。「あっという間の30年間だった」

■奉祝式典

 天皇陛下の即位30年を祝う奉祝式典が熊本市中央区の県立劇場で催され、自治体の首長や経済団体など約1800人が参加した。

 両陛下が県内を訪問されたときに言葉を交わした人たちが登壇。13年の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」(合志市)訪問の際に園長だった酒本喜与志さんは、入所者との懇談で顔を近づけ、同じ目線で声掛けをしていたお二人のエピソードを紹介。「困難な人生を余儀なくされた入所者にとって、何よりの慰安になりました」と感謝を述べた。

=2019/05/01付 西日本新聞朝刊=

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