【ROBOT×REIWA 街みらい】(2)若者の夢、地域課題に挑む

 「ハロー」。高齢者たちが机の上の人型ロボットにおっかなびっくり話し掛けると、「ハーイ」と落ち着いた女性の声が返ってきた。

 ロボットの名前は「エスター」。北九州高専(小倉南区志井)の久池井茂教授の研究室に所属する学生たちが開発している。

 小倉北区の認知症支援・介護予防センターで実証実験を重ねており、チームの主要メンバー、山本悠加さん(22)=生産デザイン工学専攻2年=と波野奎友(けいすけ)さん(21)=同=は「高齢者の話し相手を目指しています」と意気込む。

 エスターは音声を文章に解析する機能などを搭載し、人と「会話」する。要望に応じて北九州市内の天気予報を教えてくれたり、ニュースを読み上げたり。内蔵カメラで表情を認識し、悲しんでいると音楽を流して心のケアを試みる機能も付いている。

 高齢者たちからは「ロボットの方から話し掛けてきたらうれしいかも」「日本人っぽい顔にした方が良い」など口々に要望が上がった。

 妻が認知症だという小倉北区の男性(77)は「2人暮らしで、会話が少なくなりがち。ロボットでも話し相手がいれば症状緩和につながるのではないか」と話した。

 エスターは現在は英語しか話せないが、いずれは日本語にも対応させていく構想だ。「内蔵のカメラで健康管理をして、不調があれば離れて暮らす親族に知らせる機能も持たせたい」と波野さん。山本さんも「人の役に立って、社会の課題を解決するのが最終的な目的」とうなずき、北九州最大の課題の一つ、「高齢化」にロボットで挑む。

    ◇    ◇

 波野さんが会話ロボットとともに興味を持っているのが自動運転技術だ。地域全体がインターネットに接続し、信号機も自動車も管理すれば交通事故も渋滞もない社会を実現できるのではないか。機械が運転を代替すれば人手不足も解消できる。プログラミングを勉強し、北九州高専が提携しているタイの大学に進学するつもりだ。

 山本さんは市内のメーカーに就職して、北九州発の技術で快適な生活を世界に広めることを目標にしている。

 21歳の時に留学したドイツで学生たちのレベルの高さに驚かされた一方、日本の技術に裏打ちされた快適な生活にも気付かされた。便座が温かなトイレや水温を管理できる風呂。技術大国ドイツでも当たり前ではないと知った。

 日本の技術が世界を席巻した過去の時代は知らない。「日本ならではの細やかさで、世界に挑戦したい」

=2019/05/02付 西日本新聞朝刊=

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