【ROBOT×REIWA 街みらい】(4)先進介護「共創」で旗振り

西日本新聞 北九州版

 ロボットが施設内を動き回り、ベッドのお年寄りを抱き起こしたり、着替えを手伝ったり-。九州工業大の柴田智広教授は、介護の未来をそうイメージする。加速する高齢化と、介護現場の人材不足。「現場の肉体労働をロボットが代行する日が必ず来る。来ないといけない」と力を込める。

 柴田教授は、米国製のロボット「バクスター」を介護に応用できないか模索する。衣服の着脱支援ができるよう制御を試みているほか、高齢者がバクスターのたくましい腕に「つかまり立ち」することで、リハビリ支援にも役立つという。

 近年、介護スタッフの負担軽減策として、日誌の電子化などが進んできたと柴田教授は感じているが、ロボットや支援機器は現場に浸透していない。国内メーカーも含む企業が製造しているものの「使いこなせないのが実情」とみる。

 その現状を克服するため、柴田教授が力を入れるのが、九州工業大の若松キャンパスに2018年に整備した「スマートライフケア共創工房」の利用促進だ。先端の計測、加工機器が国内トップレベルの20種類以上そろう。ロボットを開発したい企業、導入したい施設や病院などを対象にしたオープンな実験拠点だ。

 自身は、バクスターを用いたリハビリの実験に工房で取り組む計画。被験者の筋肉の使用状況を調べ、ロボットがどの程度の力で介助すれば良いのか探る。

 介護現場へのロボットの導入は着実に進むが、柴田教授は「人も一緒に、同じ空間で介護に従事することになるだろう」と予想する。ロボットにコミュニケーション機能が備わっていない段階では、人間のスタッフによる高齢者への声掛けも必要だからだ。

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 未来の介護に欠かせない技術が先月、発表された。北九州市立大国際環境工学部の梶原昭博教授が開発に成功した「ワイヤレス・バイタルセンサ技術」。センサーの発する電波が、人体から反射することを利用して、体に機器類を装着せず、健康状態を示す心拍変動を把握できる。

 介護施設では、職員が24時間入所者を見守ることは難しい。カメラではプライバシーの問題がある。梶原教授の技術では、ベッドから立ち上がったり、転倒したりといった異常を無人で検知でき、スタッフの負担軽減に役立つ。浴室やトイレに設置しておけば、急な体調の悪化を把握し、駆け付けることも可能だ。

 特徴は、人体の動きに左右されずに心拍を検出できるよう、独自に積み上げた正確なセンサー技術。「機器から10メートル近く離れていても、複数人が対象でも、計測が可能」。目指すのは数年内の製品化だ。

=2019/05/04付 西日本新聞朝刊=

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