星新一さんが「夜明けあと」という本を出している…

西日本新聞

 星新一さんが「夜明けあと」という本を出している。おなじみのSF小説ではなく、夜明け=明治維新から後の出来事を新聞記事などで追ったもの。世相の移り変わりを読み取れる

▼明治元(1868)年に「天皇、東京へ」。一度京都へ戻るが翌年に遷都。無論、京都の人々は不満で「不穏な動きあり」。同10年に京都を訪ねた時は「行幸と言わず、お帰りになったと喜ぶ人ばかり」

▼「名古屋藩知事より、もはや無用のため城のシャチホコの金の部分をはがし、新政府へ提供の申し出あり」と明治3年。同4年には「電信用の柱のため横浜・小田原間の東海道の松並木」を大量伐採。文化財や環境保護の概念はまだない

▼明治6年に「仇討(あだう)ち」禁止、同7年「天皇のお通りの時、平伏しなくてよい」など旧弊を刷新。維新を見ずに病没したはずの志士、高杉晋作を名乗る者が現れ「死んだことにして諸外国を旅し、いま帰国」の記事が同8年に

▼一方、熊本に明治5年に駐屯した軍隊。「土地の士族は平民の兵隊とばかにし、兵は国の配下といばり流血さわぎ」と世情は混迷。官職を辞した西郷隆盛は「朝廷よりの何回のお呼びにも応ぜず、世の人、いろいろとうわさ」したのが同9年で、翌年の西南戦争へと続いていく

▼「平成あと」が始まった。後世の人たちにも「すてきな時代」と思えるような希望に満ちた、何より平和な出来事が記録されますように。

=2019/05/06付 西日本新聞朝刊=

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