細かすぎる校則、変える妙案は 「ルールはルール」生徒の発案を押し返す教員も

西日本新聞

校則について話し合う福岡県高校生徒会連盟のメンバー 拡大

校則について話し合う福岡県高校生徒会連盟のメンバー

 校則の必要性は認めつつも、細かな規定には疑問がある。これまでの取材を通して学校現場からはそうした声が多く聞かれた。校則は変えられないのか。各学校では生徒会執行部を中心に模索が始まっているが課題も多い。

意見集約 押し返す現場

 校則の改廃について多くの学校は運用で決め、明記しているケースは少ない。取材班が入手した福岡県内の県立高校・中等教育学校の校則に関する資料で全文が記された学校でも規定は見当たらなかった。

 ただ、変える仕組みはあっても、事実上機能していない学校もある。「生徒総会で意見を吸い上げるようにしているが、声があっても(教師でつくる)生徒指導部で押し返してきた」。同県内の県立高校の男性教諭は打ち明けた。際限のない規制の緩和により学校が荒れることを心配する管理職ら教師側の都合がそうさせているという。

 学校側の姿勢に疑問を抱く教諭は「ダイバーシティ(多様性)を尊重する時代なのに息苦しさを感じる。『ルールはルール』としか言えず、根拠を持って指導できているかいつも思い悩んでいる」と話した。

生徒会が議論する場に

 取材班は3月下旬、福岡県内の高校生徒会役員有志でつくる「福岡県高校生徒会連盟」の会合で校則の現状について尋ねた。連盟はそれぞれの学校が抱える課題について意見交換し解決策を探る目的で昨年4月に発足。これまでの活動には公私立の20校余のメンバーが参加している。

 男子生徒の一人は「そもそも校則って何なのでしょう」と問題提起。「生徒手帳に載っていなくても、ルールになっているものがあり、そういうものほど先生の解釈が分かれる」と訴えた。学校の決まり事の多くは生徒手帳に記されているが、その他の目に見えない規定や学校の「慣例」といった存在が混乱と不信感を招いているようだ。

 生徒からは「文化祭の異装規制の緩和を求めたが認められなかった」「学校に弁当以外の食べ物は絶対に持ち込めないのだろうか」といった声が聞かれた。あくまでイベントを盛り上げたり、空腹を補ったりするもので、そもそも風紀を乱す意図はない。

 生徒側の要望に工夫の余地があるとの指摘もあった。「生徒のアンケートを取るなど、きちんとした裏付けと議論の上で学校側を説得する姿勢が重要ではないか」。生徒の声を集約することは、学校側を話し合いの席に着かせるためにも効果的な手法だろう。「先生たちの信頼を得るために、今の校則をしっかり守る実績をつくることが必要だ」という声もあった。

 一方、ある男子生徒は「校則をころころと変えるのは良くない。でも、どうせ変えられないから仕方がないという姿勢も良くない」と話した。自分たちが学校生活を送る上でどんな校則が必要で不要か。そして生徒会執行部はどう関わるべきか。「校則を変えるために、校則の持つ意味を見つめ続けるのが生徒会の役割だ」と強調した。

 連盟の代表で西南学院高3年の田口夏菜さんは「校則の問題も含めて、これからもそれぞれの学校で悩んでいることを共有し、議論していきたい」と語った。

理解示し柔軟な対応も

 学校側の抵抗を強く感じる校則の改廃だが、取材班が実施した福岡県立高校へのアンケートでは、生徒の要望を受けて実現した例がいくつも寄せられた。カーディガンやタイツの着用、マフラーの色の自由化、制帽や指定靴の廃止などだ。

 「生徒総会で議決された内容は前向きに検討する」「生徒のアンケートを参考にした」とする学校もあった。ある学校はPTAと生徒会が合同懇親会を毎年開き、保護者も一緒になって考える機会を設けていた。

 中でも目立ったのが携帯電話やスマートフォンに関する規定。時代の流れや防犯上の効果もあり、校内では使用禁止だが持ち込みを認める学校が増えてきているようだ。

 生徒たちの負わされる義務が増え、自由と権利が狭められているとも指摘される校則。変化の兆しはあるものの、学校と生徒の認識にはなおずれがある。次回は、インターネット上での校則を巡る意見から現状を考える。

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▼生徒会 中学、高校で自主的活動を促し、集団の一員としての資質を育成することを目的に全校生徒で構成する自治的な組織。学習指導要領の特別活動の一つで、生徒は主体的に組織をつくり、役割を分担すること。また、学校生活の課題を見いだして解決するために話し合い、合意形成を図って実践することとしている。生徒会長や会計などでつくる執行部(役員会)が生徒を代表して活動の推進を図り、他に体育委員会などの各種委員会がある。小学校は児童会。

 

=2019/05/05付 西日本新聞朝刊=

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